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□Q.E.D
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「・・・何をやってる?」
 STラボに出勤すると、真っ黒な長髪を翻した青山がにいと微笑んだ。
 発光するように美しい彼は、真っ白なウェディングドレスを纏っていた。

「昨日回って来た事件で、被害者が着ていたでしょう」
「ああ、死後に着替えさせられていた」
 近付いて来たキャップに答える。指摘したのは自分だった。

「似たデザインのドレスをレンタルして来て、時間を計っていたんです。最初、翠さんに着て貰おうと思ったんですけど、」
「嫌よ。そんな窮屈な服」
「・・・という訳でして」
「やっさしい僕が代わりに着てあげたのさ」
 という訳で、もう帰って良い?
 青山がウィッグを長い指で梳きながら、楽しそうに目を細めた。

「キャップ、僕、可愛い?」
「へ? ・・・え、まあ、・・・綺麗、ですよ」
 男である青山にどう返すのが正解なのか一瞬躊躇った後に、キャップが答えた。
「ありがとう。ほんとはこういうきっちりした服嫌いなんだけど、キャップと結婚する時は我慢してあげるね」
「はあ・・・」
「おい、無駄話はそれくらいにしろ。折角手間をかけて計測したんだろう。資料を作れキャップ」
「あ、そうですね。すいません赤城さん」

「ねえねえ赤城さん」
「何だ?」
 何でか自分が脱がせてやる羽目になっていた。背中で編みあげられた紐を1つずつ緩めていく。面倒な作りだ。
 青山は線が細く、スタイルも肌も美しいが、医者の自分からでは背中側からでも男女差が歴然だった。
「赤城さんはさあ、」
 ばさり、ウィッグを外した下から、色素の薄い青山の地毛が現れる。ふわふわと揺れる髪は人工毛よりずっと美しい。
「もし僕が女のコだったら、僕とキャップを応援してくれます?」
「何の話だ」
 言っても、補足は無かった。
 首の半ばまでの地毛のままでも、ドレスは違和感なくその美貌を飾っていた。
「・・・ああ、女だったらな」
「ふふ、うっそだあ」
 青山がフリルに覆われた脚を揺らした。

「そうよねえ。そうだったら私とキャップの事、応援してくれなきゃおかしいわ」
 部屋の端に立っていた翠が唐突に言って、キャップが何の話ですかと眉を寄せた。


 だってドラマでも応援してくれてないでしょ、というメタオチ。
 原作青山くんの容姿は神木隆之介君で脳内変換してます。

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