□いつか
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 彼がいるから私は笑っていられるのだと思うの。

 大丈夫だよ。
 信じてね。
 可愛い。
 好き。

 彼のくれる言葉はいつだって少しも捻ってなくてでも大事なのは言葉の中身じゃなくて彼がそれを言ってくれることだ。
 彼に対して不安を抱いたことは殆どない。家業の話を聞いてから暫くはとても心配だったけれど心配しても仕方ないとも思ったし、彼はそれを望まなかったし。
 だから私は彼が帰らないことを不安に思うのではなく、帰ってくるのをただ楽しみに待っている。
 いつも、いつでも、彼の前で、彼の居ない所で、私は彼のお陰で笑っていられるのだから。
 だから私は1人で舞い散る桜を眺めても、テレビの感想を言う相手が居なくて仕方なく日記に綴っても、広いシーツに1人だけ身を横たえても、良い方に捉え、何かに感謝して、いつだって微笑むことが出来た。

 いつか先に死なれる日を思っては少しだけ泣いた。


 京子ちゃん。突発短文。

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