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□ランボとイーピン
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「来月は?」
「月初めと月末はちょっと忙しいけど、中頃は多分大丈夫だと思うよ」
コーヒーから口を離して訊いたイーピンに、ランボも顔を上げて答えた。
「ホワイトデー楽しみにしててねイーピン」
バレンタイン当日、午後になって無理に予定を取り付けて。結局何も貰えなかったが、こうして会えたのだからいいや、とランボは思う。
「でも、」
イーピンの声から微かに色が落ちる。
「14日は忙しいんでしょ」
それ、と指を指された鞄の中には、普段ちょっかいを出している女の子達に貰った大小様々な箱や袋が詰め込まれていて、
「・・・あー、まぁ、ね。でも、俺ちゃんとイーピンのとこにも」
「駄目だよ」
言いかけた所でぴしゃりと跳ね付けられ、俺は微かに怯む。もしかして、怒ってる、んだろうか。
「待ってよ、俺、ちゃんと、」
イーピンが、一番、
どんなに思っても、いつも言葉にならない。
イーピンは焦る俺を気にも留めず来た時と同じにコートを羽織って今日は私に払わせてね、と言って、
「じゃ、15日でも16日でもいいからゆっくり来てね。忙しないのは嫌だよ、私」
あっさりと言ったイーピンは頬を染めることさえなくて、だからその意味を飲み込むのに酷く時間がかかった。
「・・・え、今の、って」
声が出た時には、彼女は既に店の外だった。
そしてようやく彼女に奢って貰ったホットチョコレートに考えが至る。
・・・きっとひと月後は日付が変わった瞬間にでも会いに行ってしまって怒られるんだろう。
す、す、す、(ああもう出てこいあと一文字!)
+
ランピン。何気にホント大好きです。
両想いはお互い百も承知なのに何故か告白に至らない恋人にならない。