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□終わってしまった話
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日奈森さんはキングが好き。
キングは日奈森さんが好き。
俺は日奈森さんが好きだった。
日奈森さんはキングに憧れ彼を追いかけ本当の彼を知ってそれまでのイメージは欠片もなくなってでもやはりキングが好きなのだという。
自分が思っていたよりもずっと不器用で不安定で無垢で危うくて強くて弱いキングを置いて行くことなど出来はしないと。
キングは日奈森さんの快活さに惹かれそれ以外の部分に惹かれ一度手を伸ばしかけて引っ込めそれでもどうにか彼女を掴んだのだという。
自分は彼女に迷惑しかかけることが出来ないがそれでも彼女を手放すことは出来ない自分にはどうしても彼女が必要だと。
俺は日奈森さんの気持ちを知りキングの気持ちを知り俺の気持ちを知って日奈森さんに想いを告げそれは届きはしたものの受け取っては貰えなかった。
それでも諦められなくて彼女を見詰め続けたがそれ以上のことは出来なかっただって俺は俺が彼女に迷惑をかけることの方が余程恐ろしい。
日奈森さんはキングを守りたいのだという。
もし守り切れず彼が自分に死ねというなら死んでも良いと。
キングは日奈森さんがいなければ死ぬという。
悲しいけれど彼女に守られなければ生きてはいけないと。
俺は日奈森さんがいなくても死にはしない。
彼女が居なくなったら空しくて寂しくて悲しくて苦しくて恋しくて愛しくてもしかして死んでしまうんじゃないのかって思いながらも生きて生きてやがて少しずつ平気になってもしかしたらいつか別の誰かを愛してそしてそのまま生きていくんだろう。
それでも俺は日奈森さんが好きだった。
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「どきっ」最終回三条君登場&「どっきどきっ」放送開始記念。
数年後くらいの設定で、王子の駄目人間ぷりが浮き彫りになったころ。
本当のいい男は一つの愛だけに生きない人だと思う。少なくとも振られて最終的に大丈夫な人。
169 救われなくても確かにあった愛