コロコロ系

□さあ、ここまでおいで
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「新しいシステム?」
 流星の手にしたベイブレードを見詰めて、銀河が問うた。

「ああ。恐らく近い内に確立されていくだろうが、これが最初の機体になる。将来的にもこれは特別な物だ」
「ふーん・・・。何、これ、俺にくれるの?」
「まあ、お前に託すのが相応しいだろう。お前にはペガシスがあるのは分かるが、そいつの使い道も考えてやってくれ」
 今ひとつ興味の薄い銀河に苦笑しながら、ベイブレードを手渡す。
「ああ、分かったよ」
「頼むぞ。この『サムライイフレイド』を」
 受け取ったベイブレードは、挑むようにぎらりと光った気がした。





「さて、どうすっかなー」
 復興の手伝いの合間、イフレイドを翳して街を歩く。まだまだ瓦礫の山が残る足場は最悪だが、森の中で育った銀河には余り関係が無い。

 見ているだけで分かる。このイフレイドは、無限とも言える可能性を有していた。
 このベイブレードが、次の時代を作って行くのだろうと。
「見たとこアタックタイプだな・・・。誰が向いてるかなー」
 1人ごちる。銀河はイフレイドを受け取った時点で、それを誰かに譲ってしまう事を決めていた。咎めは受けるだろうが、最終的に自分の決めた事ならば通るだろう。
「なあお前、どんな奴と一緒に戦いたい?」
 返事が無いと分かっていて、本気で問いかける。
 それは、流星が指摘した通り、銀河には既に相棒が居るからでもあったが、理由はそれだけではなかった。

( ダミアン、ダーシァン、シーザー、遊、デュナミス、クリス、ヘリオス、正宗、翼、ケンタ、キョウヤ・・・ )

 銀河は、今まで敵対し、或いは共に戦った実力者を順に思い浮かべる。
 誰に新たな力を託せば、果たして自分にとって脅威に成り得るだろうか、と。

( ・・・あいつなら )

 足が止まった。
 彼ならば。
 天馬に歯を立て食い千切ろうと、一切の容赦無く向かって来た、あの竜の牙なら、或いは、

「・・・」
 何時の間にか、空気は赤く染まっていた。無意識に、彼の炎の色だ、と思う。
 思考がどこかへ落ちそうになった刹那、ふいに微かな声に気付いた。
 まるで呼ばれるように声の方へ向かう。

「くそー、うごけぇえ!」
 道の真ん中。必死に瓦礫を持ち上げようとする、まだ5歳ほどの男の子だった。
 黒髪に、燃えるような橙が混じっている。
「手伝おうか?」
「え?」
 片手を添えて、瓦礫を道端に転がしてやると、驚いたようにこちらを振り返った。
「・・・あ、おまえ、鋼銀河!」
 思い切り指を指されて苦笑する。
「ああ、宜しくな。お前は?」
「おれ、黒鉄ゼロ!」
 一瞬、言葉が切れて、小さく息を吸い込む音。

「いつか、さいきょうのブレーダーになるんだ!」

 強く、宣言される。色と裏腹に、燃えるような瞳。

「なあゼロ、お前、ベイブレードは?」
「・・・まだもってない」
 微かに俯いたゼロの、小さな掌を握った。
「銀河・・・?」
「『サムライイフレイド』だ。お前にやるよ」
 まだまだ彼の手に余る、鋼と炎のベイブレード。

「強くなれ」

 祝いのように、呪いのように、次代を担う者へ宣言する。

「そしていつか、俺を超えるブレーダーになるんだ」

 待ってるから。どうか俺を倒せるくらいになって挑みに来て。
 竜と天を競い合ってたあの頃みたいに、俺をワクワクさせてくれ。


 竜牙さん居なくなってちょっと物足りない戦闘狂銀河。

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