コロコロ系
□その罪は誰のもの?
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「ボク、ケンチーが好きだったんだよ」
「・・・そう」
「ボクは、ケンチーのお陰で、自分以外の人が居る世界を見付けられた」
あ、勿論ギンギンのお陰でもある。
かつて、自分の快楽以外に、世界には何一つ意味を見出せなかった。
この世は、ボクが楽しく生きる為だけに、あるのだと思っていた。
リブラや、竜牙や、ギンギンや、ケンチーの存在さえ。
「誰かと生きるしあわせを、ボクにくれたのはケンチーだった」
「僕が君にあげた物何て何もないよ」
ケンチーはそれはもう無表情だ。
ボクがケンチーに好意を寄せていたことなぞ、気持ちが悪いか、最悪どうでも良いのだろう。
「だからボクね、ケンチーと一緒に生きて行きたかった」
「僕は嫌だ」
尚もにこにこと語るボクに、ケンチーはいい加減苛立ったようだった。
でもきっとこうなること、分かってたから傷付いてもあげられない。
「でも、翼を放ってはおけない」
言ったボクに、ケンチーは訝しげな表情をした。
「翼は、ひとりじゃ生きていけない。翼は大抵1人で平気だって怒るけど」
ふざけるないい加減な事を言うなお前何か居ても邪魔なだけだお前は昔からそうだった俺を怒らせてそんなに楽しいのかと怒鳴るけど。
でも本当はそうじゃない。
翼だって自分で分かってるから怒るのだろう。
「翼は、ひとりじゃ生きていけない。翼は時々銀河と一緒じゃなきゃ駄目だって泣くけど」
嫌だ俺には銀河しか居ない銀河だ銀河じゃないと駄目だお前何かいらないお前が居るから銀河はここに来てくれないと泣くけれど。
でも本当はそうじゃない。
翼は自分では分かってないから泣くのだろうけど。
「だからボクは、翼と一緒に生きてあげなくちゃいけないって、思うんだ」
半分だけ、嘘を吐いた。
自分自身の気持ちに。
ケンチーの事が好きだった。これは本当。
でも、でもね、ボク、本当はね、
ケンチーのこと、好きなんだ。
実のとこ、翼よりもずっと、ずっとだ。
御免ねケンチー。
君を諦めた事にじゃない。
君はボクの事何て何とも思ってないだろうから、
君は僕に好かれる何て冗談じゃないだろうから、
だから、今でもやっぱり君を好きな事に御免なさい。
だからせめて、今でも好きですとは、言わないでおくよ。
だからせめて、好きだったって事だけ、知っててね。
「翼は、酷い人だ」
ケンチーは、ケンチーには珍しく酷く嫌な表情をした。
それすらも魅力的だと思うのは恋故の盲目だろうか。
ねぇでも、ケンチー、
「・・・違うんだよ。ケンタ」
翼じゃないんだよ。
ボクなんだ。
ボクが、翼を、見捨てられなかっただけなんだ。
+
前後不明過ぎる。数年後とかそういう?
ケンタ←遊(→←)翼→銀河(カオス)。
56話で遊が格好良くて翼が格好悪かった衝動で書きました。
416 どうしてこうなっちゃったんだろう、ね