遊戯王

□イブニングコール
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『遊星?』
「・・・ジャック・・・。何の用だ。俺は今忙しい」
 朝からパソコンに向き合ってDホイールの資料とか図面とか俺なりの理論とか、そう言うものを延々と見たり読んだり考えたり、いい加減少し休憩しようかなと思っていたら(だから本当は別に忙しくはないのだけど)回線が割り込んで来て、受け取るとパソコンのスピーカーから聞き覚えのあり過ぎる声で名前を呼ばれた。

『お前は雨が嫌いだったなと思ってな』
 ・・・? だったら何だお前に何が出来る。というか何で知ってるんだ。
『ネットの予報では明日には上がるらしいが』
 知ってるよお前よりパソコン使えるし。
『それで、今日傘を買ったんだが』
 知るか。
『青いグラデーションで、晴れた日の空のような、色の』
 ・・・は。
『明日、届ける』
 いやいい心の底から遠慮する。現金の方が食べ物に変わる分幾らかマシだ。
『・・・俺に、天候を操る力があれば良かったのに』
 いきなり何を。
『そうすれば雨粒なんて俺が全て引き受けるのに』
 別に、俺そんなに雨駄目じゃないけど。
『寧ろ俺やお前が雨に濡れなければならないような世界がおかしい。狂ってる』
 お前がな。
『いつか俺が変えてやる。キングたる俺が、お前の為に』
 ・・・死ねよ。

 一々重過ぎるんだよお前は。電話してるだけなのに何だこの有り得ない精神的負担。嫌がらせかこれは。だったら理解出来るけどな(効果絶大だし)。寧ろそうだと言ってくれ。
 はぁああ、と一度長く長く息を吐く。頭痛がして額に手を当てた。

「・・・お前もう喋んな」
『分かった。・・・俺はどうしたらいい?』
「喋るな」
『じゃあ、切らないでくれ』
「しゃ・べ・る・な」
『・・・ゆ』
「分かった暫く切らないずっとここにいるだからお前これ以上余計なこと言うな」
『・・・』

 漸く静かになった電話口に息を付いて、こっそりこのまま出て行こうかなぁとか考えつつも、
 今日は朝から雨で、あまり外へは行きたくないし、かといってここですることはもう特にないし、大体ここにいると言った以上はそうするべきだと思って。俺は一度伸びをして椅子に体重を掛けた。きし、小さく背もたれが鳴った。
 黙っていろとは言ったが黙っているとは言わなかったので、鼻歌を歌いつつハッキングまがいのことも交えながら目的もなくキーボードを叩いて、ラリーが穴のあいた傘を差してここへ遊びに来るまでたっぷり一時間程俺はずっとそうしていた。
 ラリーの軽快な足音に気付いて回線を切る前に殆ど無意識にじゃあ、と言ったら欠伸混じりに頷く気配がして、あれ程静かだったスピーカーの向こう側でジャックがじっとその場にいたらしいことに驚いて俺は眉を潜めた。

 ・・・電話のコード変えよう(寧ろ電話機能外そうか)。


 矛盾が出る前に&アニメでキャラが立たない内に書いてしまおう企画で遊ジャク。D-ホイール一台(代)目完成前。遊星は割と丸っこい性格だと思います。一人だと鼻歌とか歌うくらいには。
 ジャックは頭弱い+遊星好き過ぎる+有り得ない乙女で。社長と(うちの)ヨハンを足して割った感じ(・・・)。
 アトラスの愛には薄々気付いてるけど理解出来ない&ドン引きの遊星(酷)。ていうかこれギャグか。
 初の5D‘sがこれとかもうほんとごめん。

「この電話は現在にも過去にも未来にも使われておりません。わかったら掛けてくんな」

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