遊戯王

□目に痛い青
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「お久しぶりです。万丈目先輩」
「・・・エド・フェニックス」
 フルネームで呼ぶのやめて下さいね、そう言って一つ後輩の男は人好きのする笑顔を見せた。

「こっちに来てたのか」
「えぇ、まぁすぐ戻りますけど」
「十代なら・・・」
「いえ、十代には会いません」
 露骨に意外そうな顔をしてしまったのだろう。エドは面白そうにくすくすと笑う。

「十代、大分調子戻ってきたみたいですね?」
 誰に聞いたのか、ちらりとレッド寮を見やる。
「あぁ、まぁな」
「安心しました?」
 何をそんなにつっかかるのか。こいつは。
「ふん。あいつのことなど・・・」
「こんな所にいるくせに?」
 もう日はとうに落ちて、風は冷たく、
 レッド寮の明かりも十代の部屋から離れたここへは届かない。

「僕は、様子が変わったっていう十代を見ておきたかったので、ちょっと残念です」
 ふふ、と笑う。少しも残念そうに見えないが。

「お前、」
「でも良かった」
 十代は元に戻って、先輩達も僕も帰って来て、ヨハン先輩達も元の学校に帰って、

「ぜぇーんぶ元通り。めでたしめでたし」

「全部・・・?」
 そんな、訳がない。
 どれだけのものが、消えたのか。
 誰も言わないけど。

「これで十代はどこへも行かない。・・・あの男に惑わされることも、もうない」
「・・・」
 目の前の、白が、光の色だと思った。
 認めないもの全て、飲み込んでゆく光。

 この先、このままだなんて、有り得ないともう分かっている。
 共闘を決めた時点で、覚悟を、した。

「僕、もう帰りますね。先輩・・・何だか具合が良くないみたいだし」
 次は、出来れば白く曇った日に。僕、青空って嫌いなんですよ。けど、
 そこで初めて笑みを消すと、低く、低く、

「黒も大嫌いなので明るい内に来ることにします」
 強く告げて、にこり、とまた微笑んだ。


 エドとじょめ。十代争奪戦。160話前後。
 エドは十代のこと愛してはないけど独占欲は強い。ヨハンもじょめもカイザーも大っ嫌い。
 女もみーんな嫌い。エセフェミニスト。エコーはあんまし女臭さがなかったし、十代とは絶対結びつかないからそんなに嫌いでもなかった、とか。

18 奈落の底に響いた願い (Short message)

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