海賊夢

□安らかなひと時を
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冊数が分からないほど医学書がところ狭しと占領している書室。
奥の棚には医薬品も陳列されている。
海賊であり、外科医でもあるローがよく使う部屋で、ローと名無しさんは添えつけのソファーに身を任せながら、揃って本を読んでいた。
ハートの海賊団に入ってから、名無しさんはとにかく医学を身に付け様と、空いている時間は医学の勉強に慎んでいた。
長い足を組んで座るローを背もたれにして名無しさんは座っていた。

ローは無言でさらりとした髪を指で遊ばせながら、チラリと名無しさんに視線をむけた。
顔を歪ませながら本を読む姿に、思わず笑みがこぼれた。
真剣に取り組む姿は感心するが、いささか物足りなさを感じる。
ローは、本を無造作に横に置くと、体勢を変えた。

「うわっ!?」

当然名無しさんの体勢も崩れるわけで。
しかし倒れこむ前に、ローがその体を抱きしめた。

「ロー?」

これじゃ、本がよめないよ、と苦笑する名無しさんにローは本を取り上げ、肩に頭を埋めた。

「ロー、疲れた?」

返事を返さずに、ただ肯定するように抱き締めている腕に力を込めた。
普段は強気で、弱さを見せないロー。
しかし、時には疲れや、心が弱くなるときはある。
ローだって完璧な人間ではない。
名無しさんは身をローに預け、瞳を閉じる。



「ロー、昼寝する?」

「・・・・あぁ」

ローはそのまま名無しさんを抱き締めたままソファーに寝転ぶ。
帽子が邪魔かもしれないな、と帽子を脱がせて、積み重なった本の上に置いた。

ぎゅっと抱きつくローはなんだか子供のように思えて、そっと頭を撫でる。
こんな姿は他のクルーには見せられないな、と考えながら。


たまには、こんな休息も必要だろう。

うん、悪くない。




2012.04.05

締めくくりが投げやりになりました。
その後ベポがやってきて「ずるい!」と叫ぶ声で起こされるんだろうな。

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