その他

□桃色吹雪
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肌寒かった日々に 暖かい風が吹くことが多くなったこの頃。
窓の外から照らされる光に、もう春になるんだなぁとぼんやり思った。

春になると必ず思い出すことがある。


あれから3年。
すっかり大学生活に慣れ、卒業のための論文と就職活動の準備に何かと忙しい毎日を過ごしていた。

資料整理に一息ついて見上げた空。
真っ青で曇りのない空が私を包み込んでくれる気がした。

(今頃どうしてるかな…)

思いを馳せるのは3年前に別れを告げ海外に旅立っていった愛しい人。

「別れて欲しい」
高校卒業式に彼から告げられた悲しい一言。
なんとなく、こうなると頭のどこかで分かっていた。

「……うん」

私は頷くことしか出来なくて、彼の背中を見送った。
あとから涙が溢れでてきたけれど、追いかけることも出来なかった。

これで良いんだ、と無理やり納得させて。


(でも今でも忘れられないでいるんだよね…)

手帳に挟んでいる一枚の写真。
付き合って初めて2人で撮った写真。
背景は私が唯一好きなピンク。

(会いたいよ、精市)

途端に寂しくなった心。
忘れる事が出来たらどんなに楽だろう。
別れても尚、大好きで愛しい人。


私の足は自然と写真を撮った場所に向かっていた。
まだそこには花の咲いていない桜がある。


「またここで写真を撮ろう」

そういって笑っていた彼は隣にいない。


あといくつ桜を眺めて

あと何回この季節を過ごしたら


「……精市っ」


あなたを思い出に出来ますか――…‥?




end
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
久しぶりのアップが変換なしですみません(土下座
もうすぐ桜の季節だなぁとふと思い出して浮かんだネタ。

読んで下さった方、ありがとうございました!

2010/03/19
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