不思議なあいつと馬鹿な俺
□不思議なあいつと馬鹿な俺
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突然だが、親友から一通の手紙が届いた。
曰く、この桐野裕樹と文通がしたいらしい。
……家が隣同士なのにする必要が何処にある、なんて疑問は浮かぶが、それもすぐに引っ込んでしまう。
何せ、あいつは思考回路がおかしい。
どのくらいおかしいって、俺のお袋を宇宙人に身体の至る所を改造され、存在そのものがオーバーテクノロジーな超人間だ、そうだ。五歳の時からずっと言っている。普通の福岡県出身の専業主婦だっつっても信じちゃあくれない。むしろ俺は洗脳されているんだと、中三の夏休み、近くのショッピングモールのフードコートで声高々に断言されてしまった。
そんな彼の、多分恐らくきっと比較的まともな思い付きなんだろう。いや、そうであって欲しい。そうでなければ困る。俺が。
親友の申し出だから、俺は受けないつもりは無かった。だって俺は、小中高全ての担任副担任すら扱いに困り果てた少年唯一の友人だ。あいつに付き合いきれる人間は俺だけ。無碍には出来まい。
さて返事を書こう。まずはこんな事を言い出した理由を問う事にする。
――――しかし、十七になって男と文通をやるとは思わなかった。
これが彼女とかだったら、喜んでやっていたんだけどなあ……。