迷い込んでしまったのですね
□ぞくぞくする
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なんでかな。
何であなたは私を連れて出てきたの?
時計の針は1時と30分をまわっていた。昼食をとったあとの授業はとても退屈。
今日もみんなは机に突っ伏して寝ているけれど、問題だけは解かなくちゃという真面目さが私の中にはもとからあったみたい。
おかけで私はよい生徒と呼ばれ、さらに言うと成績も割とよい方だったから優等生なんて呼ばれる始末。まあ、浮ついてるちゃらんぽらんなやつ、ていう事を意味するあだ名よりはましよね。
そんな中、真ん中の席の6列目、いわゆる最後列に座っている人が突然に立ち上がり、すぐとなりに座っていた私の手を引いて言った。
「先生気分が悪いので屋上で空気吸ってくる」
屋上の重い扉を開けて私を招き入れる彼と、初めて入る屋上におっかなびっくりの私。
彼は、最初から用意しておいたらしいジュースの缶を一本取ると私に向かって、
「飲もうよ、暇だったでしょ?」
そう言って彼は少し顔を赤らめてそれを投げた。
正面に見据えたその表情は友達に向けるには特別なそれで。
渡されたのは炭酸飲料水。
うーん、私、苦手なんだけどな。それに評価下がっちゃったし。
だけど、
ぞくぞくする
(この缶を思いっきり振ってプルタブを押したら君はどんな顔になるだろう?)