モノクロ
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眠れなかった。ううん、眠らなかった。でも、眠りたかった。
早くこの世界から抜け出したかった。この色のない世界から。
眠ってしまえば、抜け出せるような気がした。眠りたかった。
何が楽しくて笑えるの。何が可笑しくて笑えるの。こんな世界に本当の楽しいなんて無いと思う。
何が悲しくて泣けるの。何が切なくて泣けるの。こんな世界に本当の悲しいなんて無いと思う。ねぇ、そうでしょ。
結局、死ぬことが出来なかった。あの電話のせい。ううん、本当は私が弱いから。
ビルに行くことも今日は出来ず。ただただ、部屋に篭っていることしか出来なかった。
電話が鳴る。一昔前に流行ったバラード。大好きだった。
「…はい」
「生きてるんや。」
「はい。死ぬなって言った人ですよね。」
「死ぬな、とは言うてないー。今日は止めといてって言うただけ。」
「そうですね、はいはい。で、貴方は誰なんですか。」
「まだ教えへーん。」
「もう、いいです。」
電話を切った
「もしもーし」
また、かかってきた
「本当に止めてくださいってば!」
「なあ、」
「はい」
「明日も電話するから、」
その日の夜、手首から綺麗な紅い液体が流れ墜ちた。生きている確認。
目からは水の様な冷たい液体が流れた。
「本当は死にたくなんかないの…」
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