あまつき

□四話
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季節はもう冬になり、しんしんと空から雪が降る。
私は手を出して、掌の上にのって溶けていく雪の様子を眺めた。

最近は結界にひびが入ることが多くなり、私達が駆けつけても
そこにいるはずの妖がいないという日々を繰り返していた。
他の者達は気味が悪くなったり、駆けつけても既にいない現状
に怒る者達がいる。
夏代だけはボーっとそのことをただ見ていた。
それと同時に姫様の様子もどこか可笑しい。
周りの者達が、結界や妖と言うたんびに冷や汗をかいている。
どこか具合が悪いのかと聞けば、問題ないという。
こんな風に、姫様の様子が可笑しくなったのはいつ頃だっただろうか……。


私は前に出していた手を引っ込める。
すると、くしゅんと一回クシャミをした。

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