short storys
□月夜と光
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君は街の中にいるんだね。
でも君は夜にしか現れない。
僕は君を照らす為に雲の合間から顔を出す。
君はいつも僕の光を恐れ夜闇へと消えてしまう。
僕の光はそんなに眩しいのかい。
そんなはずはない。
君も昔は闇の無い世界で暮らしていた。
闇の無い世界の光に比べたら僕の光は暗すぎる光だ。
君はどうして僕の世界。
暗闇の世界に来てしまったのだい。
君が僕の光を恐れなければ君は帰れるはずだ。
僕を照らす光の世界へ。
僕は光と闇の世界を繋ぐもの。
僕は鏡だ。
月は夜を照らし。
光に照らされる鏡。
僕の光は光の世界の光。
君を照らす光は僕の光ではない。
僕は君を写す鏡でしかないのだから。