medley

□獣たちに夜は優しく
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こんな風に2人きりで飲む夜だって、グリードさんは決して、店の女にするみたいに、あたしの肩を抱いたりはしなかった。
それはあたしの誇り――あたしはあの子たちとは違うんだ――でもあり、なのにそれは少しだけ、あたしを傷付けたりもした。
(なにさ。ちょっとくらい触ったって、怒りゃしないのに)

気付かれないくらいに小さく唇を突出す。
強欲は斜向かいの席で、呑気な顔をしてグラスを煽っている。


「注ぎましょうか」

「おぉ。悪いな」


空になったグリードさんのグラスに、身を乗り出してボトルを傾ける。
背もたれに腕を回した姿勢のまま、グリードさんはそれを受けると、なみなみ注がれた酒を舐め、目を細め、心持ち唇の端を持ち上げてにんまりする。
その様子に、少しだけ苦笑した。
まったく、何もかも欲しがる強欲(グリード)が、あたしなんかと飲む安酒で。
幸せそうにしちゃってさ。
胸が、苦しくなる。


「グリードさんは」

「ん?」

「グリードさんは、どうしてあたしたちなんか、側に置いてくれるんですか?」


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