medley

□獣たちに夜は優しく
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唐突なはずの問いに、グリードさんはクルクルとグラスの液体を混ぜながら、いつもと同じ、呑気な仕草で天井を見上げてみせた。
天蓋では巨大な扇風機が、静かに闇をかき回している。


「そんなもん、最初に言っただろ。部下を探してたんだよ」

「だって、そんなに強いのに。なんだって部下なんか必要だったんですか?」

「そりゃあ、お前」


ふと、グラスを回す手を止めて、グリードさんは急に真面目な目をする。
首を回してこちらを見つめ、それから少し、頭を傾げた。


「…そういや、なんでだ?俺こんなに強いんだから、部下とかいらないよな。よく考えたら」

「あたしに聞かないで下さいよ」


思わず肩をこけさせた。
いつでも飄々としたこの人は、切れ者なんだか天然なんだか、未だに本気で分からない。
グリードさんは捕らえどころなく笑うと、ただなんの気負いもなく、軽く肩をすくめてみせた。


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