medley

□ケロイド
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いつか、悲しみも憎しみも風化して、綺麗な想い出になればいい。



ケロイド




彼女──しまった、なんて名前だったかな──は、笑って「そう思わない?」と、可愛く首をかしげた。


「え?あぁ、うん。そうだね。…ところで、なんの話だったけ」


生返事を返すと、彼女は眉を吊り上げて、少し芝居がかった仕草で唇を尖らせる。


「もう、ジャンったら、なんにも聞いてないんだから」


ここ数日、店先に詰め掛けてはお喋りをしていく美人の彼女は、そう言うとプウっとほっぺたを膨らませた。

俺は、ほとんど無意識にダンベルを持ち上げながら(なにしろ移動のほとんどにはコイツらの力が必要なので、腕だけはいくら鍛えても鍛えすぎるという事はない)曖昧に苦笑する。

実は、君の名前もよく聞いてなかったんだ、と言ったら、さすがに怒り出すだろうか。


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