獄寺君

□それには理由があって、
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「でででデート?!」

「…ダメなのか?」

い、いや全然…と言ったものの、

(何着てけばいいか分かんないよ!)

「ってわけで、明日な!」

ブロロロ、とエンジン音と、見送ってくれた彼を確認し家に入る。






「おりゃぁぁぁ!!」


(明日?!明日とかもう日にち無いじゃん!給料日?!あと2週間はあるよ?!)


気付けば物凄い叫び声を上げ、タンスとクローゼットを漁っていたらしい。

「あぁ…もう…」

こんなことなら昨日行った服屋さんで服を買っておくべきだった…


「もう…だめ…」

だいたい明日とか急すぎるよ!…まぁそんな彼が好きんだけど…

「寝よ」

カチッと電気を消し、潔く布団に入る。

服は明日の朝勘で選ぶことにした。


早起き出来ればのお話。











翌朝。

「いやぁぁぁ!!!」


時刻は11時。
待ち合わせ時刻は9時。

メールは5件。
着信も5件。

完全に

「寝坊したぁぁぁぁ!!」


あ、もしもし!
と耳に携帯を押し付け通話をする。

返ってきた言葉は、怒声でもなく嘆声でもなく、だからといって美声でもなく、

「心配したんだぞ…?」


一瞬、動くことが出来なかった。

「…今どこだ?」


次々に発せられる言葉が全て優しい。

「まだ家だよ…」「今から行くから。待ってろ。」


ただそう残すと、声が途切れた。


(やばい…怒られる…)


取り敢えず、昨晩散らかした服の山を片付けることにした。


暫くして、玄関のチャイムが鳴る。


「どうぞ…」



嫌われたかもしれないという気持ちでいっぱいだった。憂鬱な思いをなぎ払い、

ガチャリと鍵と扉を開けた瞬間、


「…隼っ」


本来なら外の風景が見える筈なのに、目の前には隼人の服のデザインだけが映えていた。

「くっ、苦しっ…」

いつもとは違う香水の香りが漂っていた。

目の前に居る隼人は、自分を抱き締めているのだ。


「はな、…てっ」


離して、と言っているつもりなのに、強く顔が押し付けられている所為かうまく言葉を発せれない。



「…離さない。」

「う?」





抱き締める力が強くなったと思えば、しだいに弱々しくなっていくのが分かった。

隼人の胸から顔が離れた。

その瞬間、無意識に謝っている自分が居た。



「…ごめんね、11時じゃもう遅いよね…」


返事は無かった。



(珍しく張り切ってたしなぁ…)

あの時、はにかんだ笑顔が忘れられない。








「ごめ」

突然、再び言葉をうまく発せられなくなった。






それには理由があって、


( 「謝んな。」

「…でも私のせ」

「…俺はこうやってお前を抱き締められるなら幸せだっつの!」 )














あとがき↓
大人な二人を考えてみました。隼人は彼女のために新しい香水まで買ってきてたんですね!ちなみにデートする予定だったのが、ディ◯ニーランドです。きゃほーい。確かに2時間も遅れるとは致命的…んなら、その前に電話ばっかしてないで彼女の家行けよ!とか思います(笑)その後二人は彼女のお家で仲良くデートしたみたいです(^^)にしても、彼女叫びすぎだなぁ(笑)

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