小説(・ω・)

□おやじの過去!? 
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三人悪は、いつものように地獄堂の奥の四畳間で本を呼んでいた。
突然、良次が顔を上げ、辺りをキョロキョロと見回す。
そして、何か気付いたというように、口を開いた。
「ここってさあ…江戸時代の建物だよな?」
そう言う良次の手には『江戸の建築』という本がしっかりと握られている。
応えを求めるようにおやじを見ると、不気味なひひひ笑いが返ってきた。
「薬屋の商売も江戸時代からやってんの?」
そんな良二の言葉にもおやじは何も言わず、ガラコを撫でる手つきが優しくなっただけだ。
返事を期待していなかったのか、三人の想像は勝手に膨らんでいく。
てつしなどはおやじの強さのルーツがそこにあるような気がして必死に考えてみるのだが。
そこはてつし。
江戸時代の町並みなど少ない知識の中にあるわけもなく、模糊としたイメージだけが頭の中を旋回していた。
そして、そのイメージも予想外に飛んできたおやじの言葉により中断させられてしまう。
「ここはなあ、わしのおやじの代からあるのよ」
と、昔を懐かしむように目を細める。
「おやじのおやじ…!?」
三人は珍しい話しだ、と期待して目を輝かせる。おやじはそんな三人の様子に満足したのか、怪談を話す時と同じように、ゆっくりとこの薬屋のことを、自身の親のことを語り始めた。
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