小説(・ω・)

□テストで馬鹿騒ぎ
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「じゃあ、今回のテストで赤点とった人は退学になっちゃうんで頑張って下さいね!」
最後にこう言い残して、ルネは教室を去っていった。
教室を、軽いざわめきが駆け抜ける。
「テストって来週から…だよね」
ジャグジーが不安そうに呟く。
「ジャグジーって馬鹿だったっけ」「無理じゃね」「無理だろ」「ジャグジー、お前には無理だ」「諦めろ」「じゃあな、ジャグジー」「ヒャッハア」
ジャグジーはその言葉を聞いて、瞳に涙を大量に浮かべる。
「そんなあ…僕、退学になっちゃうの…!?」
「大丈夫よ、ジャグジー。今から勉強すればまだ絶対間に合うから」
「でも、この前のテストはあんなに勉強したのに…6点だったし…」
ジャグジーは自分で言っていて悲しくなったのか、途中から俯き、泣き声が交じり始める。ニースもこの件に限ってはこれ以上何も言えないらしく、ただ優しく肩を叩くだけである。
そこへ、アイザックとミリアが話に介入してきた。
「どうしたンだよジャグジー。泣いててもいいこと何もないぜ」
「笑ってないと福が逃げちゃうんだよね」
「そうなの?」
「そうだよジャグジー。だから笑おう」
いつの間にかエルマーまで混ざって、ジャグジーを励ましている。
「でも、でもさ…三人は勉強できるからいいよね」
「まあ勉強なんて簡単だしな」
「ちょちょいのちょいだね!」
「…そっか」
かなり残念な気持ちになるジャグジー。頭が弱いようにしかみえない二人にこう言われると本気で悲しくなる。教室内で話を聞いていた全員が恐らく同じ気持ちだろう。
「それにな、ジャグジーより頭悪いヤツだってちゃんといるぜ」
「フィーロのことだね!フィーロ、この前のテスト2点だったんだよね」
「3点だッ」
フィーロはそれまでジャグジー達から離れたところに座っていたのが、突然でてきた自分の間違った情報が気になり、つい会話に参加してしまう。どっちでも変わらないというのに。
ジャグジーは俄かに安心したような表情になり、
「フィーロさんって…僕より馬鹿だったんですね」
と言った。
フィーロは自分の失言に気付く。
「うるせえッ」
取り敢えず叫んでおいた。
エルマーがフィーロのことを気にせずに呟く。
「他に危ない人って──」
全員が一斉に、誰もいない机をみつめた。
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