小説(・ω・)

□アメリカで!(仮)
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クレアは、殺し屋である。
そこそこ名前も売れている──というのがいいことなのかはわからないが、少なくとも売れた名前に見合う実力はある。
それでも仕事が面倒だと思うことは、ままあることで。
「面倒臭い」
今日などもシャーネに愚痴をこぼす。
「わかってる。わかってるよシャーネ」
でもなあ──クレアは溜め息をつく。
何も喋っていないシャーネの言葉が何故わかるのかはわからないが、彼にだけはわかるのだという。
その様子をはたからみるとものすごく馬鹿らしい。尤も、そんなことを気にするクレアではないのだが。
「そうだよな。仕事だもんな。仕方ないよな」
クレアは溜め息をつく。彼がこんなことを言うなんて珍しい。シャーネはその様子を不安そうに見つめている。
「心配すんなって」
じゃ、行ってくるとクレアは軽快に部屋から飛び出した。
道中、クレアは考えた。
依頼人のことである。
何となく、いやな感じのヤツだった。人を馬鹿にした様子がありありと伝わってくるような。
どうにも気に入らない。
しかし、依頼人がどんな人間であれ、受けてしまったのだから仕事は仕事、なのだ。
「やるしかないか」
小さく呟き、クレアは殺す相手がいるという屋敷へ向かい、何の滞りもなく仕事をすませた。
多分、すませた。
それでもやはりまだ殺し足りないような気がして、まだ動き出しそうな気がして。
自分で満足がいくほど惨たらしく殺す。
そうしたところで、部屋の扉が開いた。

現われたのは──。

 
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