【声フェチ主人公と報われないフリーダム】
「ね〜ナナシちゃーん?おいってば…ちょっと聞いてるー?」
「もちろん声は聞いてますよ!」
「じゃなくて…はぁ、もう一回言うね。すきだよ」
「あぁッ!!萌える…ッ!!!!」
「それは返事になってないでしょ?!ナナシのこと好きなの!!つき合ってくれる!?」
そうこう繰り返すこと早1ヶ月。お馴染み声優の杉田智和と一般ピープルの大学生白
年齢しかり職業や待遇もまったく違う2人が知り合ったのはおよそ3年前、ナナシがまだ高校に在学中でどっぷりとアニメやら漫画にハマっていた時期だ。その時ナナシがとくにハマっていた涼宮ハルヒシリーズ。そのキョン役の言わずもがな知る我らがフリーダム杉田智和の第一声を聴いた瞬間ベタ惚れしたというわけだ。
ちなみにそれと同時に声フェチになった。
ナナシはニヤニヤとはたから見れば気持ち悪いくらいのにやけ顔で杉田をみる。
「いや〜それにしても成せば成るって本当ですね!あの日から早3年ですよ。」
「シカトかよ!!!(泣)…そうだな…あの熱烈なラブレターを貰ってから3年、俺が告白を繰り返すこと6回目だ」
そして今回も記録を更新する予感。
杉田はわざとらしくため息をついた。
「杉田さん幸せが50メートルダッシュしちゃいますよ」
「普通に逃げますよっていいなさい!それにダッシュさせてるのはナナシちゃんだからね!?……はぁ、せっかくのナナシちゃんとのデートなのに…」
「私は別に気にしませんけど…杉田さんとお喋りするだけで幸せですから☆」
こんなことを言われて嬉しくないわけがない杉田。
男として嬉しくないわけがない杉田。
「…でも男として気にするからね、ブランコと滑り台くらいしかない公園にずっといるなんてアレじゃない。もう12時だし昼飯食いに行こうか」
「本当ですか!?やったぁぁ!!」
両手を宙高く大袈裟なほどに上げて喜ぶナナシを見て杉田は微笑んだ。