‡SECRET GARDEN‡
□奪われる全て
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先程まで行われていたパーティーも最後の客を見送り、ザラ家の屋敷には深夜の時間にふさわしい静寂が訪れていた。
―一室を除いて…
「あれほど他の男に色目を使うなと言っただろう!!」
激昂しながらこの屋敷の当主であるアスラン・ザラは、妻であるカガリの身体を乱暴に執務室の机に押し付けていた。
「私は!色目なんて使っていない!!ただ、挨拶をしていただけだ!!」
頭と肩を後ろから押さえつけられている為、アスランのほうを振り向く事が出来ず、苦しげに言葉を吐くカガリ。
「黙れ!自分の身の程をわきまえるんだな!!…オマエは誰のモノだ?」
嘲りの色を隠す事もせず、アスランはカガリに聞く。
その言葉に悔し涙を瞳に浮かべながら、カガリは口を閉ざす。
もともとはカガリは国内屈指の資産家アスハ家の跡取りで、婿を取る事はあっても、嫁に出される事はないはずだった。いずれは父の跡を継ぐ者として帝王学を学んでいた。しかし、カガリが成人を迎える頃、父の腹心と信じていた部下の起こしたクーデターにより、父であるウズミ・ナラ・アスハはその地位を追われ、気がつけばライバル社のザラ家に会社は買収されていた。そしてその証としてカガリは自分の5歳上の、ザラ家の若き当主アスラン・ザラの元へと生け贄の様に嫁がされたのだった。全てを強引に運ぶアスランをカガリは憎む事しか出来ず、そのアスランに抱かれるのは屈辱でしかなかった。