才色飛車〜利き駒の調べ〜

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迷彩忍者の視線



「うーん…」



俺様の視線の先には一人の女。
自室で机に向かい悩んでいるよう様子。
最近噂の利き駒だ。

中国と四国が同盟を結んだこともあり、大将の命で利き駒を探りに来たんだけど…
噂の容姿は当てにならないし、探すのは面倒くさそうだって思ってた。
でも驚くほど簡単に見つかったんだよね〜。
なんてったって目立つ目立つ!
変わった服装はもちろん、毛利の旦那に付いて回ってて、恐れもせずにズバズバ意見するし。
毛利の旦那も旦那で、なじったり叩いたり…しまいには踏み付けたりするくせに、やたらと可愛がっているような面も見せる。(なんなんだろうね?)
鍛練場では兵たちと和気あいあいとしてたけど、いざ鍛練を始めるとかなり強い。
あの毛利軍に馴染むとは…不思議な子だな…。



「いや…そもそもなんで男にも乳首があるんだろ…」



え!?なんの話!?
何について考えてるの!?
毛利の旦那や兵との会話からだとかなり知的な印象を受けてたんだけど!



「…そうか…そういう時には無いと困るよねフフフ…」



どういう時ーっ!!?
しかも意味深な笑い!
一体彼女の頭の中では何が起こってるんだろう…!



「元親さんのアイデンティティーにも関わるしね、うん」



鬼の旦那?
てか あいでん…?って何だ?南蛮語?
この子南蛮語も分かるのかな…。



「うーつまんない…元親さんは帰っちゃったしー…。八尋ちゃんはまだ帰って…こないよな…行ったばっかだもんね…」



八尋。
雀部八尋だ。
正直なところ俺様が今この子…彼方ちゃんだったかな?を見てられるのは彼がいないからだ。
彼がいたらバレずに忍び込むのはほぼ無理だっただろう。
なにせ雀部ってばずっと見張っていたんだから。

里は違えど同期。
詳しいことは知らないけど噂は色々聞いてた。
俺様と並ぶ実力の持ち主だけど、一族を裏切り抜け忍になって追われてるって聞いてた。
いつの間にか毛利の旦那に仕えていたみたい。
まぁ彼方ちゃんに仕えてるって言った方が正しいのかもしれないけどね。

そんな彼の不在を存分に利用させてもらう。



「奥州のずんだ餅を食べてみたいなんて言わなきゃ良かったなぁ…八尋ちゃんも本気にすることないのに…」



どうやら彼は奥州に行っているらしい。
…甘味の為に仕事に出される自分自身と重なった。



「ごめんねぇ八尋ちゃん…もう我が儘言わないよー…寂しいから早く帰ってきてー…」



……可愛い。
ゴロゴロ転がって呟く姿は拗ねた子供を思わせる。
なんか…いいなぁ…忍がこんな風に思ってもらえてるなんて。
雀部が羨ましい…って別に武田に不満があるわけじゃないよ!?
ただちょっと…ねぇ?

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