才色飛車〜利き駒の調べ〜

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「んー……ん?」



仰向けに寝転がる彼女と目があったような気がした。



「あー…お仕事お疲れ様です。私の監視なんてつまらないでしょう」



バレてる…!
彼女が動きを見せる前に姿を現し、組み敷くようにしてクナイを首にあてた。



「動かないでね。騒いだら殺すから」

「おぉ〜…男の人に組み敷かれるなんて初めてです」

「…緊張感無いね」

「だって私を殺しに来たわけではないでしょう」

「なんでそう言えるの?」

「気付かなかったからです。貴方が私を殺すつもりだったのなら敵意や殺意ですぐ気付きましたよ」



にこりと言われてしまうとどうしようもない。
要はこの子…危害を与えるつもりが無い人間には気付かないってこと?
ホント危機感ないなぁー。



「ふーん…まぁ実際何もするつもりは無かったんだけどさ。女の子なんだからこの体勢に危機感は持ったら?」

「私だって恥ずかしいですよ」

「いやそういうことじゃなくてさ…もっと…」

「ヤっちまうぜ、的なことですか?」

「ちょ!女の子がそういうこと言わないの!」



驚いた。
さらっと言うもんだから…。
どっかの上司とは大違いだ。
少し警戒しつつも彼女を解放すると、またにこりと笑って言った。



「まぁ座ってくださいよ。暇だったんでちょうど良かったです」

「え…毛利の旦那に報告したりしないの?」

「あの人多分もう気付いてたんですよ。でも後で…ふん、気付かずにいたとはな。そなたはよほど鈍いと見える。それで一隊長とは笑わせるわ…とかなんとか言って私を踏み付けるんだと思いますよ」

「似てたよ今の…うーん、さすがに旦那には気付かれてたか…。でも大丈夫なの?女の子なのに踏み付けられるとか…」

「慣れって怖いですよね…。叩かれるか踏まれるかしないと、1日が終わったような気がしないというか…元就さんの体調が悪いのか気になるというか」



遠い目してるなぁ…!



「苦労してるんだね彼方ちゃん…」

「まぁ…ってあれ?名前知ってたんですね」

「あぁ調べてるうちにね。彼方ちゃん面白いから特別に教えてあげるよ、俺様の名前も」

「そんな簡単に明かしちゃっていいんですか?」

「言ったでしょ、特別だって…」



何人もの女を落としてきた、色気たっぷりの表情と台詞を決めてみた。
一体この子はどんな反応をするのか…。



「……何その色気。うわーイイモン見た…ありがとうお兄さん」

「あ、いや…どういたしまして…?」



お礼を言われるとは予想外だな…。
まぁなんだか満足気な顔してるし…いっか。



「で、俺様佐助っていうの。猿飛佐助」

「あぁ、武田の戦忍でしたよね」

「ありゃ、もしかして雀部から聞いてた?」

「優秀な忍だって言ってましたよ」

「そう言って貰えるとは嬉しいねぇ。アイツだって優秀でしょ?」

「はい!八尋ちゃんはホントにすごいですよ!」



うわぁ今までで一番の笑顔…!


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