才色飛車〜利き駒の調べ〜

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「騒がしい連中よ…」

「がはははは!これが武田よ!…して毛利。書簡には同盟の話とあったが真か?」

「うむ。回りくどい話は無しだ。率直に言う。同盟を結ばぬか」

「ほう?」

「対織田、豊臣として中国と四国で同盟を結んだのは既に知っておろう。それと同じことだ。更に甲斐は上杉、伊達、北条にも囲まれているのだ。悪い話ではなかろう」

「ふむ…」



静まり返る室内。
先に口を開いたのは信玄だった。



「幸村、お前はどう考える?」

「某でございますか!?」

「うむ。お前の思うことを言うてみよ」



突然話を振られ動揺を見せた幸村だったが、すぐに口を開いた。



「某は賛成できませぬ!同盟自体は意義があるものの、相手は毛利殿!信頼性に欠けまする!」

「ほう、本人を前になかなか言うではないか」

「事実は事実。兵からの信頼も無い人物をどう信用できましょうか!」



再び静まり返る室内。
だが今回はすぐに声が響いた。
控えていた彼方の声だ。



「お言葉ですが。毛利軍の人間全てが元就さんを信頼していないというような思い込みは止めていただきたいですね」

「むっ…」

「兵の皆さんはなんだかんだ言っても元就さんに着いていこうと考えています。それに何より私が元就さんを信頼しています。その気持ちなら貴方にだって負けませんよ」

「なっ…お館様を想う気持ちは某とて負けん!お館様は素晴らしいお方だからな!」

「元就さんだってそうです」



元就や信玄は何も言わずに黙って二人のやり取りを聞いていた。



「お館様は熱いだけでなく冷静に物事を考えることのできる方だ!」

「元就さんは冷静ですが胸には熱い思いを秘めてます」

「言ったことは必ず実行してくださる!」

「元就さんは不言実行です」

「それにお館様は鍛え上げられた素晴らしい肉体をお持ちだ!毛利殿には無い体格でござろう!」

「華奢に見えても程よく筋肉は付いてます。適度に鍛えられた体、漂う知性…元就さんの色気は誰にも負けません!」



彼方の言葉に元就が僅かに反応したが、黙ったままだった。



「<あー彼方さん一線越えちゃったかな…。止まらないぜアレ>」

「<彼方ちゃんホント面白いね…>」



唯一話をしているのは天井裏から様子を見ている佐助と八尋。
だが極めて小さな声での話なので突っ込みを入れても本人たちには届かない。


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