才色飛車〜利き駒の調べ〜
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奥州
城下にて
「へへ…お前さんも運が悪いなぁ」
「政宗公暗殺の計画を知っちまったんだ。生かしてはおけねぇ」
「そ、そんな…」
どうしよう…!
私は美代。
政宗様のお城で働く女中の一人。
使いに出ている途中で政宗様の暗殺計画を聞いてしまった。
近道をしようと裏道に入ったあの瞬間が運命の別れ道だったのね…。
男たちに見つかって森に連れ込まれた今、助かる可能性は低い。
「ま、政宗様を暗殺するだなんて!」
「俺たちゃ頼まれて細工をしただけよ!隙を見て客人のじいさんが持ってる献上品に毒を入れてな!」
「渡された毒を入れるだけで、とてつもねぇ金が手に入るんだ!」
「前金だけであの額だ。成功すればしばらくは遊んで暮らせるぜ!」
「俺らも依頼人も疑われもしねぇだろうな!ぎゃははは!」
「依頼人ですって…?」
「そ。まさか政宗公も城にいる身近な人間から命を狙われてるとは思わねぇよなぁ!」
「な、一体誰が…」
「俺たちも顔は知らねぇがな。金さえ貰えりゃどうでもいいのよ」
なんてこと!
城に裏切り者がいただなんて…!
「だ、誰か…!」
「無駄だ。誰も来やしねぇよ」
「どうせ殺しちまうんだ。少しは楽しまねぇか?」
「良いこと言うじゃねぇか!ヤってからでも遅くはねぇ」
最悪だわ…。
殺されるだけじゃなく辱められるだなんて!
政宗様に計画をお伝えすることもできずに私はここで果てるのだ、と絶望した瞬間だった。
声が聞こえた。