才色飛車〜利き駒の調べ〜

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独眼竜の城にて



「よく来たな光右衛門。疲れただろう」

「いえ、お会いできて嬉しい限りでございます」



ついに政宗の元へと通された彼方たち。
三人だけの犯人探しは密やかに進行していた。



「ところでそっちのは…」

「おぉそうでございました。お梅、ご挨拶を」

「はい。政宗様、お初にお目にかかます。光右衛門が孫娘、梅と申します。この度はこの場に同席させていただき大変光栄でございます」

「Oh、お前がお梅か。なかなかcuteじゃねぇか」

「きゅうと…?(うわ、マジで英語使うんだ)」

「可愛いって言ったんだ」

「そ、そんな恐れ多い…!(イケメンに褒められたーっ!)」

「(政宗様の前で演技するとは肝の座ったお嬢さんじゃのう…)」



お梅に成り済ました彼方が内で思っていることなど知らずに光右衛門は感心していた。
自分の演技だけでなく私やお美代さんにまで気を回してくれるとはなんて器用なんだろうか、と。
実際に光右衛門も美代も演技できるかどうか心配していたが、彼方のフォローによって普段通りに振る舞えている。



「政宗様。今回も南蛮の茶を仕入れて参りましたのでぜひご賞味くださいませ。お梅、品を出してくれ」

「はい。…ま、まぁお祖父様どうしましょう…!」

「どうしたんじゃ」

「政宗様への献上品を女中さんに渡してしまったみたいです…!も、申し訳ございません政宗様!」

「なんだそんなことか。別にかまわねぇよ、茶はどっちも同じなんだからな」

「あ、ありがとうございます…!」



そのやり取りの瞬間、家臣の一人が不自然な反応をしたことを彼方は見逃さなかった。
上座の政宗から見ると縦一列に横を向いて控える家臣たち。
彼方たちは政宗の正面に位置しているが、反応をしたのは彼方の近くにいた家臣であった。


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