才色飛車〜利き駒の調べ〜

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「元就さん」

「何だ」

「肩に葉っぱが付いてますよー」

「どこだ?」

「ここですー、はい取れた」

「うむ」

「…元就さぁん」

「今度は何だ」

「へへー何でもないですー」

「ふ…じきに着く。じっとしていろ」

「はーい」



こ の 方 達 は !
人の前でベタベタと!
甘えるように擦り寄る彼方殿と、頭を撫でる元就様。
私は邪魔なのか?
邪魔だよなこれは明らかに。
なんかもう…早く帰ってきて八尋殿!!!



「冬春ー、やっぱり私自分で馬乗るよー。引きながらは大変じゃない?」

「いや…大丈夫ですよ。彼方殿は元就様とお乗りになっていてください(と言うしかないのだ)」

「そう?…元就さんも大変じゃないですか?」

「眠気にふらつき落馬しそうになるそなたをこちらに乗せたのは我よ。かまいはせぬ」

「落馬されてしまっては大変ですからね」

「んー分かった」



後少しで城に着くというところで、今までの疲れが出たのだろうか、彼方殿が落馬しそうになった。
見かねた元就様が彼方殿を己の前に乗せたのは先ほどの事だ。



「(それはいいが目の前でイチャつかれると気まずいというか羨ましいというか…ハッ、いやいや、彼方殿は私の上司であって…!)」

「っくしゅん!」

「寒いのか?」

「いや、空を見てたら鼻がムズムズしただけです」

「空を?それでくしゃみが出るとは変な奴だな」

「えー、ちゃんとした反応なんですよ。光くしゃみ反射って言ってですね、光の刺激によって反射的にくしゃみが出るんです」

「信じられぬ」

「元就さんは自分がならないから分かんないんですよ。でも日本人の4人に1人の確率でそういった体質の人がいるんですー」

「なぜ全員ではない」

「さぁ…優性遺伝によって子孫に伝えられると考えられてるけど、そのメカニズム…えー、仕組み?の詳しいことは分かっていないらしいです」

「…難解な」

「まぁ遺伝やら反射やら…ここじゃあ浸透してないことばかりですからねぇ」

「……(何の話だ…まるで理解できぬ)」



彼方殿は時々難しい話をする。
私には到底理解のできない話だが、元就様は興味があるようだ。
ただ今回はさすがの元就様にも分からなかったらしい。



「とにかく!私は眩しいとくしゃみが出る体質なんです」

「ふん、日輪の光の強さ…そなたにはくしゃみの原因としかならぬか。哀れよ」

「別にそこまで…。それに見る度に出るわけじゃないんですけど!」

「大差ない」

「…まぁ確かに元就さんがバサラ技出した時とか…たまに耐えてますけど」

「………」



彼方殿が時たま戦場で鼻をつまんでたのはそのせいかーっ!
もしや負傷して鼻血でも出されたのでは、と心配していたのに!
くしゃみを我慢してたんですね!
すればいいのに!



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