才色飛車〜利き駒の調べ〜
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「もうホント…いきなりすいませんでした…」
「全然平気っす!」
「アニキも絶対喜ぶし!」
「そう、ですかね…?」
「もちろんっす!俺も姉御と会えて嬉しいっすよ!//」
「あ、テメェ抜け駆け!姉御!俺も嬉しいっす!」
「俺も!俺もっす!」
「「「姉御ーっ!!!」」」
あいつら俺の時より士気上がってねぇか?
まぁ若い奴らだからな…仕方ないっちゃ仕方ないか。
「お前ら!ご苦労だったな!」
「アニキ!」
「元親さん…」
「彼方!久しぶりだな!一体どうしたんだ?」
「っも…ちか、さ…っ」
「「「っ!!!アニキが泣かした!」」」
「おっ俺か!?お、おぃ彼方…」
「あーあー駄目だねぇ元親は。彼方ちゃんっていうの?俺は前田慶次!慶次って呼んでよ!」
「慶、次さん…」
「ん!船旅で疲れてんじゃない?あっちで茶でも飲もうよ!」
「……(コクン)」
「よし!そうと決まったらすぐ実行!ほら元親も早く!」
「お、おう…」
俺と野郎どもが騒いでる間に、慶次がさっさと話をまとめてしまいやがった。
だが今回ばかりは女の扱いが上手いコイツがいて助かったぜ…。
でも俺が泣かしたんじゃねぇよなぁ?
さっきまで茶を飲んでいた所に着く頃には、彼方の涙も止まっていた。
それでもやっぱり元気はねぇが。
「その…なんかあったのか?」
「………」
無言のままだった彼方は意を決したような顔をして視線を俺と慶次に向けた。
「…私…太ってますか?」
「「は?」」
「私!太ってますかね!?」
「ちょ、どうしたんだよ!別にお前太ってもいねぇだろ!」
「なんだいなんだい。誰かに太ってるとでも言われたのかい?」
「う、うぅ…」
「わぁー!泣くな泣くな!ほら、俺らが話聞くからよぅ…な?」
再び涙を浮かべたことに焦りつつ、話を促すと彼方はポツポツと語り始めた。
「…踏みつけられた時にですね」
「ぶっ…!アイツまた…!」
「踏みっ…?え!?」
「“そなた…太ったのではないか。随分と余計なものが付いているとみえる。”とか言ったんです…」
元就の真似をしつつ話す彼方。
口調は元就なのに彼方が言うとなんだか可愛く感じるのは何でだろうな。
「散々運動不足だのなんだの言われてですね…。そしたら八尋ちゃんも…“確かに丸くなったかもしれないっすねアハハ〜”とか言い出して…!しまいには冬春がですね!“太っても彼方殿は可愛らしいですよ”、なんて言うんですよ!慰めになってねぇんだよって話ですよ!だいたい私だって自分で太っちゃったかなって思ってたのに!追い討ちかけることないじゃん!なんなんだあの男たちはド畜生が!」
「うーん、俺もまつ姉ちゃんからかったりするけど…それはちょっと女の子の気持ちが分からない奴らだねぇ」
徐々に言葉が崩れていく彼方を気にする様子もなく、うんうん、と話を聞く慶次。
俺は俺で、その方が彼方らしいななんて思っていたりして。
正直言うと彼方の悩みを聞いていても可愛いとしか思えなかった。(俺ヤバいか?)