才色飛車〜利き駒の調べ〜
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四国にて
フラリと遊びに来た四国。
そこで女の子と出会った。
まさかその子が“利き駒”だなんてね!
逆立ちして歩くひょろひょろの男だって聞いてたんだけどなぁ。
噂は当てにならないねー。
ま、彼方ちゃんに会えたんだから良しとするさ。
それにしてもあの子は面白い。
服装はもちろんだけど、雰囲気が他の女の子とはまるで違う。
それに何より見ていて面白い!
会ってからまだ数日だけどまったく飽きないね!
なー夢吉、と肩にいる相棒に声をかけると同意するかのようにキッと鳴いた。
「ばっ…彼方!若ぇ女がそんなに脚を出すんじゃねぇ!//」
「えー、元親に言われても説得力ないよー。ちくびー」
「な!おま、そういうことを…っ//俺のこたぁどうでもいいんだよ!ほらさっさと着替えてこい!」
「いいよこのままで。まったく…上半身出してる奴に限ってそういうこと言うんだよなぁ」
「てめっ…!いいか?いくら俺が注意しててもここには男ばかりなんだ。間違いが起こったっておかしくねぇんだぞ」
「んー…(あ、貝殻見っけ)」
「お前だってそれなりの自覚を持ってだな。あんまり男を刺激するような服を着るんじゃねぇ」
「…見て慶次!綺麗な貝殻!」
「話を聞け!」
彼方ちゃんの様子に思わず笑う。
途中から完全に聞き流してるんだから。
にしても元親は気にしすぎだって。
確かに変わった格好だし、露出も女の子にしては多いけど…。
似合ってるしいいと思うな!
なにより俺が見てて嬉しい。(俺だって男だぜ?)
「ほらー、綺麗でしょ?」
「ホントだ!いい色だねぇ」
「っ慶次!お前も少しはだな…!」
「もー、変なトコ固いんだから元親は。彼方ちゃんがいいって言うんだからいいじゃん」
「そーだそーだ」
「(団結しやがった…)」
顔を手で覆った元親が少し可哀想になった。
仕方ないからちょっとは協力してあげるかな!
てかそんなに彼方ちゃんの脚を隠したいのか…
男ばっかで危ないって言ってるけどさ、一番危ないのは元親だよね!
「でも今の格好もすっきりしてて可愛いけどさ。振り袖も似合うんじゃない?」
「振り袖…着物かぁ…」
「そういやお前着物は着ねぇのか?」
「着ないよー」
「えー勿体ないよ!たまには着飾ってみてもいいんじゃないかな。絶対可愛いよ!」
「そうかなぁ…」
もっと押せ!と言わんばかりの視線を送ってくる元親。
自分で言いなよー、と俺も表情で伝えると、元親は少したじろいだ。
西海の鬼も女の子には弱い、ってね!
「でも…着物持ってないし」
「っそんなん用意してやるぜ!」
「着付けもできないし…」
「女中に任しときゃ大丈夫だ!」
元親は渋る彼方ちゃんをなんとか説得しようとする。
「俺も彼方ちゃんの着物姿見たいな!ほら、夢吉も見たいって!」
「好きな着物を選べばいい。いいだろ?な?」
「じゃあ…着てみようかなぁ…」
彼方ちゃんがそう言った時の元親の顔を、俺は一生忘れないと思う。(超嬉しそうなんだもん)