才色飛車〜利き駒の調べ〜
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「こりゃ驚いた…」
「彼方…」
彼方ちゃんを女中に預けてどのくらい時間が経っただろうか。
やたらと満足気な女中たちの影から姿を現した彼方ちゃんはとても色っぽかった。
下ろしていた髪を結い上げ、化粧を施された彼女はさっきまで騒いでいた人物とは思えない。
「さ!私たちの仕事はこれで終わりでございます。後は元親様にお任せいたしますよ!」
「では彼方様。走ってはなりませぬよ」
「はーい…ありがとうございました」
女中たちがいなくなり、彼方ちゃんと俺たちだけになる。
「どうかな…?」
「すっげぇ似合うよ!」
「随分…女らしくなったじゃなねぇか…//驚いたぜ」
「へへ//」
はにかんだ彼方ちゃんに元親は真っ赤になった。
とか言う俺も顔の筋肉が緩みまくってるのが分かるんだけどな!
でも可愛い女の子が目の前にいるんだから仕方ないよ!
「なんか落ち着かないなぁ…。もう着替えたい」
「いやいやいや、せっかくだから着てろよ。城下にでも行くか?」
「疲れるからヤダ」
「元親は彼方ちゃんを見せびらかしたいんだよ」
「っ違ぇ!俺はただ…!」
「えー、いいよもう。元親と慶次に見てもらったから」
「っ…!//」
うわぁ、可愛いこと言ってくれるねぇ!
元親は後ろを向いて柱をバシバシ叩いている。
すっごい耐えてる…!
襲うなよ!
「でも…」
元就さんにも見せたかったな――…
彼方ちゃんがポツリと呟いた言葉は俺にしか聞こえなかっただろう。
やっぱり寂しいのかな。
こんなに想ってもらって毛利の兄さんも幸せもんだよ。
泣かせたらいけないよ!
「にしても…よくそんな着物があったなぁ」
「他にもいっぱいあったよ。女中さんが次から次へと持ってきたから。元親様のお古ですけどウフフ、って」
「はぁ?」
「ばっ…!彼方!お前何を聞いた!!?」
「んー…色々と。可愛いかったんだろうね、チカちゃん」
「てめっ…彼方!//」
「どういうことだい?」
「聞いてよ慶次、あのねーっむぐ!」
「言うな言うな!」
なにやら慌てる元親。
彼方ちゃんの口を後ろから手で塞いでいる。
気付いてんのかな?
抱き締めてるって。
「んー!」
「言わねぇか!?」
「んー(コクコク)」
「ったくよォ…」
「ぷはっ…後ろからとは…卑猥な」
「そういうことを言うなっての!!!//」
「きゃー助けて慶次ー!」
「おっと女の子が危険な目に!逃げるぞー!」
「逃げんなコラァ!!!」
「「あはははは!!!」」