才色飛車〜利き駒の調べ〜

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「おい元就…彼方は具合が悪ぃんだよ」

「なんだと?早くそれを言わぬか、チクビめが」

「Σなぁ!!?」

「ね、元親…なんか高貴でしょ…?」

「満足気な顔してる場合じゃねぇよ彼方ーっ!」

「…本当に具合が悪いのであろうな?」

「変なこと言ってても具合悪いのは本当だから早く寝かしてあげてよ毛利の旦那っ」



元就様は怪訝な顔を彼方さんに向ける。
視線に気づいた彼方さんは青ざめた顔で力なく笑った。



「ただいま、元就さん」

「…ふん」



素っ気なく返すも、元就様は優しい手つきで彼方さんを抱き上げた。



「うわ…っ!?も、元就さん恥ずかしいですよぅ…」

「黙っておれ」

「…細い元就さんには私は重いんじゃないですか…」

「…そなたまだ根に持っておったな。…重いと思うものを持ったりはせぬわ」

「………(じー)」

「なんだその疑うような目は…。そもそも長曽我部には大人しく抱かれておったであろう。気分が優れないのならば静かにしておれ、お転婆め」



元就様は俺たちに構うことなく、すたすたと彼方さんを運んでいった。



「柊野、雀部。後は適当に片付けておけ」

「「はっ」」

「片付けって…そりゃないっしょー…」

「彼方!ゆっくり休めよ!」



彼方さん達の姿が遠くなると、冬春さんが口を開いた。



「元親公、佐助殿…お構いできず申し訳ありませぬ。だが彼方殿を送り届けてくださったこと…いくら感謝しても足りぬくらいだ…」

「おー…悪かったな猿飛。俺の仕事だったんだが」

「まぁったく…彼方ちゃんが出ていっちゃったからって腑抜け過ぎでしょー」

「返す言葉も無ぇ…」



彼方さんが出ていってしまってから、心配と後悔で仕事も手に付かず…情けない。



「まぁいいじゃねぇか!今度からはお前らもっと彼方に気ぃ使ってやれよ?」

「もちろんだ」

「にしても彼方殿は大丈夫だろうか…」

「いつにも増して酷そうだったからなぁ」

「あ?いつもって…」



海賊兄さんと猿飛が怪訝そうにこっちを見た。
そういえば彼らは知らなかったんだよな。





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