才色飛車〜利き駒の調べ〜
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人の気配を感じて探ってみると、変な女がいた。
綺麗な身なりをしているけど、一人で馬に乗り、空を見上げていた。
その表情は研ぎ澄まされた刀のようで思わず見入ってしまった。(べ、別に見惚れてたわけじゃないぞ!)
「……イイ腰してるよな」
「Σなんだよそれ!?」
「Σふおぁ!!?」
…やっちゃった!
だっていきなり変なこと言うからつい!
なんで突然腰の話になったんだよ!
「えーと…?」
「な、なんだよ!蘭丸は別に見てたわけじゃないぞ!」
「ふーん?蘭丸君ね。私 彼方ー」
「っ彼方…?」
「ん」
「イイ腰って何がだよ…?」
「あ、やっぱ聞かれてたんだ…」
彼方は気まずそうに笑った。
「いやぁ…ここではイイ腰した人が多いよなーって思ってさ」
「はぁ?」
「細いのもがっしりしたのもたまらん…」
「変なの!お前ワケ分かんねぇな!」
「お前の髪型もワケ分かんねぇよ」
「Σ!!?」
「あ、ゴメンつい…」
な、なんか急に口が悪くなった!
ちょっと怖かっ…たなんて思ってない!
もそもそと馬から降りてきた彼方。
変な奴だけど何者かは分かってない。
いつでも攻撃できるように構えた。
「で?何かご用かな?」
「お前!こんな所で何してんだよ!」
「旅の途中ー」
「一人でか?」
「んーん。お目付け役が一人。今はいないけど」
お目付け役?
そんなんいるくらいだし、武器も持ってる。
普通の女じゃないことは確かだよな!
蘭丸ってば冴えてんじゃん!
「蘭丸君こそ一人なの?」
「まぁね。ホントは家来がいるんだけどどっか行っちまったから」
「家来?」
「うん。ウネウネしてて白くて気持ち悪いんだ」
「(え?人間?)」
「そんで変態!」
「(あぁ光秀か…)なんか凄いね、家来の人」
彼方の口元が引きつったのが分かった。
まぁ気持ち悪いもんな、光秀の奴。
「あいつ気持ち悪くて友達いないから蘭丸の家来にしてやってんだ」
「へぇー蘭丸君も大人の男って感じじゃーん」
「まぁね!へへっ」
「(単純…かーわいいww)」
ニコニコしている彼方。
殺気も感じないし…別に敵じゃないのかな?