才色飛車〜利き駒の調べ〜

□19
1ページ/4ページ


19
動きだす者、辿り着く者



面白い。

ただそう思った。



「ククク…」



暗い道。
漆黒の闇に身を包まれながら笑いが漏れた。
毛利の利き駒…彼方、と言ったか。
面白い、実に面白い。

蘭丸が懐いたことも興味深いが、彼女の雰囲気が最も興味深い。
何よりあの瞳。
私を正面から見据えた瞳にあったのは警戒のみ。
恐怖は無かったように思える。
私を見る誰もが恐怖や嫌悪を顕にする。
だが彼女は違った。
それがどうしようもなく私を惹き付ける。



「この私を…恐れませんか…!」



彼女とあってから数日経った今も昂揚する気持ち。
やはりあの時何もせずに立ち去ったのは勿体なかっただろうか。
いや、楽しみは取っておいた方がきっと…

もっともっと美味しく頂けるにちがいない。



「利き駒…今度会った時は存分に楽しませてください…クク」



貴女の瞳に恐怖が宿る瞬間が見たい。



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ