才色飛車〜利き駒の調べ〜
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「Honey...今夜は一緒に寝るか?」
「政宗様!ご自重なs「いいよー」彼方!!?」
「Realy!!?」
「彼方!お前もっと自分を大事にしねぇか!」
「こじゅーろーさぁんwww」
「「彼方!!?」」
何を思ったか正面から小十郎に抱きつく彼方。
ずりぃずりぃずりぃ!
「こ、こらっ…やめねぇか彼方…!」
「こじゅ…教えて欲しいの…」
「なっ///」
「ぶっ(その台詞はやべぇだろ!)」
「ずんだ餅の作り方を…」
「「………」」
小十郎を見上げる形で言葉を紡ぐ彼方。
その言葉に衝撃を受けた俺達。(小十郎の赤面なんてそうそう拝めねぇ)
だが続けられた言葉にさらなる衝撃を受け、酔いも覚めるのが分かった。
「ず、ずんだ餅…」
「だめ?」
「いや…教えてやるぜ…」
「わーありがとう!元就さんに作ってあげるんだー」
小十郎に抱きついたままニコニコと笑う彼方。
だがその笑顔が毛利を想ってのものだと思うと胸がチクリとした。
やっぱりお前の中には毛利がいるんだな…
俺がお前の一番になることはないのか…?
いや…そもそも俺の穢れた右目を見ればいくらコイツだって離れていくんじゃねぇのか…?
彼方…お前も俺を拒絶するか…?
「彼方ちゃん!」
「んぅ?」
俺の思考を両断するかのように彼方を呼ぶ猿の声がした。
とろんとした目で見上げられ、猿がウッと息を詰めたのが分かった。(分かる分かるぜその気持ち!)
「雀部のことなんだけど…」
「八尋ちゃん?」
酔いを覚ますかのように頭をふるふると振って立ち上がった彼方。
耳打ちする猿の言葉を真剣に聞いている。
「分かりました…すぐ行きます。すいませんお先に失礼します」
「お、おぉ…」
先ほどまでの雰囲気は消え失せ、急ぎ足で部屋を出ていった。(もちろん虎のオッサンにも一言断っていたが)
「…なんだろうな」
「さぁ…」
彼方が出ていった方向を見つめて、再び酒を煽った。