才色飛車〜利き駒の調べ〜
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乗馬訓練
「ねぇ幸村」
「なっなんでござろう!」
厩で愛馬を撫でていた彼方殿に声をかけられた。
たまたま一緒になっただけだというのに、二人きりの状況にどぎまぎしている。
お、俺だって情けないとは思うがどうしたらよいのだ…!
「馬の乗り方教えて欲しいんだ」
「馬の?」
「えへへ…実は走らせるの苦手なんだー」
「そうでありましたか!某でよろしければお教えいたしますぞ!」
「やった!あ…でもこの格好じゃ無理かな…」
しゅん、とした様子で自分の服を見た彼方殿。
ヒラヒラした短い着物をお召しの彼方殿もお可愛らし…お、俺は何を!//
「そんな彼方ちゃんに俺様が良いものをあげまーす♪」
「Σきゃう!」
「佐助ぇ!」
彼方殿のすぐ後ろにぴったりと現れた佐助。(えぇい近づきすぎだ!)
驚いた彼方殿に何かを差し出した。
「袴…?」
「そ!それなら大丈夫でしょー」
「…佐助…いつから聞いておったのだ…」
「あはー。まぁまぁ。着てきなよ!なんなら俺様が手伝って…」
「手伝ってもらっても私は別にいいんですけどねー。小十郎さんに怒られちゃうんで女中さんにお願いします」
「それは残念」
「じゃあ着替えてくる!幸村待っててね」
「う、うむ!某も用意をしておきまする!」
嬉しそうに着替えにいった彼方殿。
その背中を消えるまで見つめていたら、佐助が意味ありげな声で話しかけてきた。
「旦那が女の子と二人きりとはね〜」
「な、なんだ」
「いやぁ、あの初な旦那が珍しいなーって。彼方ちゃんだからかな?」
「おお俺はたまたまここで会って…っ」
「ふーん?」
「っ準備する!」
「ま、頑張ってー」
ニヤニヤする佐助に背を向けて俺は馬に向かい合った。