才色飛車〜利き駒の調べ〜
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「雀部が駄目なら俺様が着いてくから!ね?」
「ハッ、魂胆がバレバレだぜ。猿が行くくらいなら俺が行く」
「はぁ!?仮にも奥州の頭でしょ!?軽々と着いていけるわけないじゃん」
「だからってお前と二人きりにさせるわけねぇだろうが」
「風魔もいるし」
「風魔がいねぇときはずっと彼方に付いてるつもりなんだろ?Ah-n?」
バチバチと火花を散らせて言い合う二人。
彼方は一瞬止めようとしたが、できそうになかったのでその場でおろおろするしかなかった。
「…やめなよー…(小声)」
「守る役目が必要でしょうが!」
「お前が一番危ねぇんだよ!」
「竜の旦那も似たようなもんだぜ!」
「……じゃあねー…(超小声)」
これ以上二人に付き合っているのが面倒ななった彼方は、こっそりとその場を離れた。
「いい天気だし日向ぼっこでもするかなー」
ぐぐ、と伸びをした彼方。
適度に日の当たる快適そうな木陰を見つけると、そこに腰を下ろす。
「ふわぁ…眠くなってきた…」
心地よい環境が眠気を誘う。
風に乗って時たま聞こえてくる政宗と佐助の声。
彼方がいなくなったことにまだ気づいていないのか、まだ言い争っているようだ。
そんな二人の声を聞きながら薄ら微笑んで目を閉じた。
仄かな風の香りを感じつつ彼方の意識は沈んでいった。