才色飛車〜利き駒の調べ〜

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「だって小太郎かっこいいしー癒されるしー忍っぽいしー我が儘にも付き合ってくれるしー…イイ身体だしー」



結局そこに戻るんだ…
でもさーちょっと贔屓しすぎじゃない?
雀部ならまだしも会ったばかりの風魔だろ?
俺だって――…



「彼方ちゃんは風魔ばっかり…俺様だって忍だし!面倒も見てあげられるし!」

「さ、佐助さん?」

「空にも連れてってあげられる!構ってあげられる!風魔じゃなくたって…!」



かっこ悪。
でも一度出てしまった言葉は止まらなかった。



「佐助さん」

「俺様だって…我が儘くらい聞けるよ…」

「可愛いね、佐助さん」

「……彼方ちゃん?」


風魔から離れてこちらにやってきた彼方ちゃんが、背伸びをして俺の頭を撫でた。
驚いて何もできない俺の前で彼女はニコニコと笑っている。



「そういうこと言うと私…本当に色々言うからね」

「…いいよ」

「じゃあお団子食べたいな。幸村が言ってたよ。佐助さんはお団子作るの上手いんでしょ?」



口調の砕けた彼方ちゃんが俺を見上げる。



「当然でしょ。任せてよ」

「やった!佐助さんありがとー」

「俺様にはぎゅーってないの?」



少し余裕を取り戻した俺がニヤリと笑ってそう言えば、彼方ちゃんは驚いた顔をした。
でもすぐに照れくさそうに笑って、ぎゅっと抱きついてきた。



「ふへへ、やっぱ佐助さんもイイ腰してる」

「彼方ちゃんそればっか」



伝わってくる温もりを離さないように、俺も彼女の背に腕を回した。

お前だけじゃないんだぜ

今度は俺が風魔に笑ってやった。




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