才色飛車〜利き駒の調べ〜

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31 飲み比べ


「小太郎次ーっ!」

「Ha!やるじゃねぇか!」

「負けませぬぅ!」



酒を煽り続ける(精神的に)お子様3人組。
彼方には小太郎が、政宗には小十郎が、幸村には佐助がそれぞれ酌をしていた。
酔いも回って政宗や佐助に甘え始めた彼方を心配しながらも小太郎は酒を注ぐ。



「佐助ぇ、それ食べたいー」

「はい、あーん」

「邪魔だ猿!こっち来いよ彼方!」

「ん!抱っこー」



腕を伸ばした彼方だったが、聞こえてきた声にビクリと反応した。



「彼方」

「…………」



元就だ。
彼の冷静な声色に落ち着きを取り戻した彼女はしょぼんとして再びちまちまと飲み始めた。



「あーあ、せっかく酔って可愛かったのに」

「ふん」



佐助が恨めしそうに元就を見たが、彼は気にもしなかった。



「Hey、彼方…今夜は俺んトコ来ねぇかぁ?」

「ぬ!?」

「竜の旦那、彼方ちゃんに絡まないでよね。ちなみにそれ真田の旦那」

「ぶはっ、政宗もうヤバいじゃん!」

「まったく…しっかりしてくだされ政宗様!」



そろそろ限界らしい政宗の言葉に彼方と間違えられた幸村は驚き、主従組は呆れる。
そして勢いを取り戻した彼方は笑い声をあげて喜んだ。



「竜の旦那より彼方ちゃんの方がお酒強いんだねぇ」

「すごいー?」

「うん、すごいすごい」

「あのねぇ佐助」

「ん?」

「きも゛ちわ゛る゛い…」

「Σぎゃー!しっかりして彼方ちゃん!!」



口を押さえた彼方に大慌ての一同。
小太郎が急いで外へと連れ出した。
ちなみに政宗はその場に突っ伏してお休みモードに入ったところである。



――しばらくお待ちください――



「さーっ、飲み直すぞー!」

「「「はあぁ!?」」」



彼女が戻ってきての第一声に一同は驚いた。
あれだけ飲んで、しまいには気分を悪くしたのにも関わらずまた飲むと言うのか。




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