ギアス

□無知は罪(カレン+C.C.+ナナリー+スザク)
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ゼロを失った黒の騎士団はブリタニアに瞬く間に追い詰められた。
そして・・・壊滅した。

捕らえられた黒の騎士団のメンバーは公開処刑されることになった。
そこにはゼロの親衛隊隊長の紅月カレンや、共犯者であるC.C.と呼ばれている魔女もいた。
そしてエリア11の新総督である、ナナリー・ヴィ・ブリタニアの姿もあった。

「ゼロはどこにいるのですか?ゼロと話したいことがあるのですが。」
「総督っ!ナナリー総督自らがこのようなところへ来られなくても・・・」
「いえ!一度ゼロと話しておきたい事があるのです。我侭ばかりでごめんなさいスザクさん。」
「いや、別に・・・」

ナナリーは周りに無理を言って処刑場まで来たらしい。
そんなやり取りを見ていた2人の女が口を開いた。

「ブリタニアの皇女っていうのは、何も出来ないくせに我侭ばかり言う女のことをいうのかしら。」
「そうらしいな。前の副総督といい、今回の総督といいお飾りならお飾りらしくしていればいいものを。」

バカな奴らだ。と、せせら笑った。
途端に2人に銃口が向けられたが、全く気にも留めないかのような平然とした顔をしている。

「おやめなさい!」

ナナリーの命令に兵士は一礼してすぐに立ち去っていった。

「確かに私は目も見えませんし、足も動きません。ですが、ユフィ姉様が実現出来なかった特区日本を実現したいんです!」
「そのためならどんな事でもします!どんな事にも耐えます!それに、私にはとても信頼出来る方もいますから。」

そう言いながらナナリーはなんとも表現し難いとても美しい微笑みをスザクに向けた。
そしてスザクも、そんなナナリーに飛び切りの笑みを返した。

「そんなんだからお飾りだって言われるのよ!気持ちだけでなんとか出来るのなら世の中苦労しないっての!」
「まったくだな。こんなのに負けたと思うと悲しくなってくる。」
「ゼロがいれば・・・ゼロさえいれば勝てたんだ!ゼロさえいてくれてたら・・・」

いきなり横にいた玉城が騒ぎ出した。
ゼロがいれば、ゼロさえいれば、と。
それを聞いたナナリーは自分がここに来た理由を思い出し、カレンに問いただした。

「ゼロはどうしたんですか?ゼロはここにいないのですか?」

だが、カレンもC.C.も口を開かない。
そしてもう一度ナナリーは2人に問いただした。

「ゼロはどこにいるのですか?ゼロと話したいことがあるのです!お願いです。ゼロが何処にいるのか教えてください!」

すると今度はC.C.が静かに口を開いた。

「ゼロは・・・もういない。」
「えっ!」
「奴は生きる理由を失くした。自分の命なんかよりもずっと大事にしていたものに存在を否定されて・・・」
「私はゼロを守れなかった!私ではゼロの生きる理由にはなれなかった!」

2人とも悔しそうなそれでいて悲しそうな表情をしていた。

「お前はゼロの生きる理由であり、この世の何よりも大切で愛していた・・・。なのになぜお前はゼロをいや、ルルーシュを否定した!なぜルルーシュではなくスザクを選んだ!なぜルルーシュの手を取らなかった!」

ナナリーはカレンの鬼気迫る勢いに驚きはしたが、それ以上に自分の耳を疑うほどの驚きがカレンの言葉の中にあった。

「なぜ、そこでいきなりお兄様の名前がでてくのです?!それに私はお兄様を否定などしていません!するはずがないでしょう!私はお兄様を愛しています!なのになぜそんなことをしなければいけないのですか?!」
「ホントになにも知らない愚か者だな。ルルーシュはゼロという仮面を被っていたんだよ。ナナリー、お前の為にな。」
「お前に優しい世界をプレゼントする為にゼロになり、黒の騎士団を作った。そして・・・王の力をも手に入れた。全てはお前の為だよ、ナナリー。」
「嘘です!!お兄様がゼロの訳がない!だって、お兄様がクロヴィス兄様やユフィ姉様を殺すはずがない!!」
「そこの円卓の騎士から聞いてないのか?そいつはルルーシュがゼロだと知っていたんだぞ。なんたってそいつは「やめろ!!ナナリーこんな奴らの言う事を信じちゃダメだ!」

C.C.の言葉をスザクは自分の言葉でさえぎった。
それでも尚C.C.は言葉を止めなかった。

「そこにいる枢木スザクがお前のお兄様を、ルルーシュを皇帝に売ったのさ!そしてその見返りにナイトオブセブンという地位を手に入れたんだよ。」
「そいつはお前にずっと嘘をついていたのさ。だが、ルルーシュはお前には嘘はつかなかった、お前が傷つくような嘘は絶対につかなかった。」
「だがお前はそんなルルーシュよりもスザクを選んだ。ホントに愚かだな。」

ふっ、とナナリーを見つめたまま蔑む様な笑みを浮かべた。
だがナナリーはそんなことどうでも良かった。自分がゼロを、ルルーシュを否定してしまったことに気がついてしまったから。
スザクがルルーシュを皇帝に売ったことや、スザクが自分に嘘をついていたことも今はどうでも良かった。
今はただただ兄に、ルルーシュに会いたい。そんな気持ちでいっぱいだった。

マリアンヌが殺されてからずっと矢面にたって自分の事を守ってくれた兄。
一人では何も出来ない自分をいつも助けてくれた兄。
母親が殺されて自分も悲しくて辛いはずなのに、そんな事は微塵も感じさせずにナナリーのことを愛し続けてくれた兄。
いつも自分の事よりもナナリーのことを考えていてくれた兄。

そんな兄に会って謝りたい。謝って許してもらえることではないとは解っていてもやっぱり謝りたい。
とにかく会いたい。どうすれば兄に会えるのか、それしか考えられない

「お兄様は今何処にいらっしゃるのですか?!お願いです!教えてください!」
「そんなの教えられるわけないでしょっ!これ以上ルルーシュを悲しませることは私が許さない!」
「私はもうお兄様を悲しませるようなことは絶対にしません!だから、だからお兄様がどこにいるのか教えてください!お願いします。お兄様に会わせてください」

弱弱しく懇願するナナリーの瞳には涙が溢れていた。
そんなナナリーの姿を見てもカレンとC.C.の気持ちは変わらない。

「そろそろ公開処刑の予定時刻です。」

そうこうしているうちに公開処刑の時間になったことを知らせるために一人の兵士がやって来た。
そしてカレンたち黒の騎士団のメンバーは処刑の準備に入り、黒の騎士団の中で唯一この公開処刑に関係ないC.C.は、本国への輸送船へと乗り込んでいった。

「お兄様の、お兄様がどこにいるのか教えて下さい!お願いします!お願いします!」

ナナリーは尚もルルーシュの居場所を聞き出そうとカレン達に懇願するが、スザクや他の兵士達によって遠ざけられてしまった。
遠ざけられてもなお、ナナリーは涙を流しながら叫び続けていた。

(今度はあんたが絶望する番よ)
(ルルーシュではなくスザクを選んだ事を一生後悔するがいい)

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