ギアス

□本当の自分(ミレイ→ルルーシュ)
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私は何のために留年したのだろう。
いや、理由はわかってる。でも、誰にも留年した理由を教えていない。
それはそうだ。好きな人と少しでも一緒にいたいから理事長の孫が留年したなんて口が裂けても言える訳がない。

でも、なぜだか何か他にも留年した理由があるような気がしてならない。
この心のもやもやはなんなのだろう。自分の事だというのにはっきりとわからない。
自分にとってとても重要な事のような気がするのに、さっぱりわからない。
いや、わからないというよりも思い出せないと言った方が正しいかもしれない。

そんなもやもやを抱えながら数日が過ぎたある日。
私のとても大切で、とても愛おしい人とその弟が黒の騎士団の残党が起こしたテロにあってしまった。
しかし、彼はなんとかそこから逃げる事が出来たようで無事に学園に帰ってきてくれた。
そして、その知らせを聞いたとき私は涙を流さずにはいられなかった。
彼が無事で本当に良かったと、生きて帰って来てくれて本当に嬉しいと心の底からそう思った。
この気持ちは彼を愛しているからなのだろうか。それとも何か他の感情があるからなのだろうか。もしくはその両方か。
今の彼女にはまだわからない。

テロが起き、ゼロが復活してから数日が経った頃、私は何か違和感のようなものを感じていた。
最近彼が少し変わったような気がする。何が変わったかと聞かれると上手く言い表せれないが、何かが変わったことは確かだ。
彼のようでいて彼ではない。そんな感じがする。
でもなぜかそんな彼を懐かしいと感じてしまう自分がいる。そんな彼を待ち望んでいた自分がいる。
でも、そんな彼を見て悲しくなる自分もいる。そんな彼を見て泣きたくなる自分もいる。
そして、そんな彼を守ってあげたいと強く願っている自分がいる。

ゼロが国外追放処分を受け、エリア11から黒の騎士団がいなくなってからの彼に前よりも強い違和感を感じた。
いや、違和感というよりも疑問を感じていた。これは本当に彼なのだろうかと。私の知っている彼なのだろうかと。
でも、いくら考えてもその答えは出てこない。それもそのはず、私自身が本当の彼というのをわかっていないから。
本当の彼を忘れてしまっているのか、元から本当の彼を知らないだけなのか。
どちらにしてもこの疑問が解決されることはない。

私は彼のことを愛している。でも、そんなことは彼には言えない。彼だけでなく誰には言っちゃいけないこと。
私はアッシュフォードの為にこの身体を使わないといけないのだから。
自分の気持ちだけで行動は出来ない。アッシュフォードがまた煌びやかな世界に戻るためには勝手な事は出来ない。
幼い頃から何不自由ない生活をさせてくれた両親や家族に自分の身勝手な行動で迷惑はかけられない。
だから私は貴方への思いを一生心の中に封印します。
でももし、この気持ちを貴方に伝えられる日が来たら、私の持てる全ての心と気持ちを込めて貴方に伝えます。

「愛しています」と

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