リクエスト部屋
□loveholic
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だけどこの前遊びに行った時。
ふとした時に、手がふれて、キスされた。
『…がまん、できなかった』
熱に浮かされたような顔の山本に、獄寺はどうしていいかわからなくて。
もう一度近づいてきた唇を、避けることができなかった。
あれ以来山本は触れてこない。
それは獄寺がその隙を与えないからだ。
あの顔を見てから、唇の感触を知ってから、獄寺の身体は言うことをきかない。
山本を見るたび落ち着かなくて、気になって、すべてが上の空になる。
(こんな、…これが)
今ごろになって。
山本は、こんな気持だったのだろうか。
まさか自分が、山本に対してこんな気持ちを抱くとは思わなかった。
山本に背を向けて走り出す。
追いかけてくる気配を感じながら、獄寺は複雑だった。
追いかけてくるな。でも、追いかけてきて欲しい。
半年だ。
半年めにして、何かが変わった。
腕を捕まれて振り向かされる。
そのままきつく抱きしめられて、獄寺は痛いほど音を立てる心臓に目をつむった。
「なんで逃げるの」
「お前、が」
そんな声で呼ぶから。
あんなふうに触れるから。