リクエスト部屋
□お嫁サンバ
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なんだかマズイ時にきてしまったらしい。
ランボは大きな身体を縮めて、目の前でぷりぷり怒りながらジェラートを食べる隼人を覗き見た。
仕事でボンゴレに来たはいいものの、その前にいきなり何故か物凄く機嫌の悪い隼人に捕まったのだ。
昼間っから酒を飲むからついてこいと言い張る彼女をなだめ、ジェラートで妥協してもらって今に至る。
酒など飲ませてはいけない。隼人は酒に強いけれど、絡みグセがある。
そんなことをすれば、隼人を溺愛しているドン・ボンゴレや、雨や雲の守護者にボコボコにされるに決まっているのだ。
「…で、なんでそんなに機嫌が悪いんですか、隼人さん」
ランボは敬語で尋ねた。
見た目は少女だが中身は獄寺隼人である。幼い時のことがあるので、ランボは隼人に敬語を使っているのだ。
「また山本氏とケンカですか」
「違え。山本じゃねえ」
隼人は据わった眼でランボを睨み付けた。
「じゅうだいめ」
「……え?」
隼人の口にした名前に、ランボはきょとんとする。
「十代目」が意味する人物は一人しかいない。しかしそのひとが隼人の怒りの対象であるなど、にわかには信じられなかった。
隼人は彼の右腕であり、娘であり、ややこしい経緯を経てはいるが20年来の友人でもある。ボンゴレ十代目を崇拝しているといってもいいほどだ。
もっとも、隼人が生まれ変わってからは行き過ぎた尊敬はなりを潜め、家族としての敬愛に変わっているが。
それでも信じられない。
「ボンゴレと…ですか。それはまたかつて無い…」
「そうかもな。十代目があんなわからずやだとは思わなかった」