リクエスト部屋
□chocolate play
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「ホワイトチョコ?」
山本が振り返ると、いつの間にやってきたのか、缶ビール片手に獄寺が壁にもたれかかってこちらを眺めていた。
ちっ、と獄寺は舌を鳴らす。
「しまった、チョコがあるならビールじゃなくてウィスキーにするんだった」
眉を顰めるとビールを傾けて一気に飲み干す。どうやらもう大分飲んでいたようだ。
冷蔵庫から年代物のウィスキーを取り出すと、グラスにとぽとぽと注いでいく。
「隼人、これケーキにするんだぜ?」
「ホワイトチョコでケーキ?美味いの、それ」
たっぷりとグラスに注がれたウィスキーを一口飲んで、獄寺は山本の手元を覗き込んだ。
毎年この時期には山本はお菓子を作る。今年は獄寺の好きなチョコケーキだが、趣向を変えてホワイトにしようと考えたのだ。
「美味いよ。甘いし」
「ふうん。でもつまみ食いくらい、いいだろ」
言うと溶かしたチョコに指を一本指し入れる。白いチョコが付いた指を舐めて、追いかけるようにウィスキーを飲むと獄寺は幸せそうな笑顔を作った。
「美味い。やっぱチョコにはウィスキーだな。お前も飲む?」
山本が頷くと、獄寺はもう一度指をチョコに浸した。それを山本の口元に持っていく。
「はい」
差し出されたそれを山本はためらいなく口に含んだ。
チョコを全部舐め取るように、それ以上に丹念に。
「ん…、待って、な」
艶を含んだ声で制止すると、獄寺はウィスキーを口に含む。指を山本の口から引き抜き、代わりに唇を押しつけた。口移しで、ウィスキーが山本の喉に流れ込んでゆく。
喉に焼けるような熱さと、チョコの甘さが絡み合う。その香りと柔らかな獄寺の唇を山本は堪能した。
舌を絡めて、息を奪う。酒の味が少しずつ薄まり、代わりに獄寺の味がした。
「ん…ぁ、ふ…」
獄寺の目尻が赤くなったところで解放する。少し息が荒くなっているようだ。
間近で見つめると、上気した頬のまま、妖艶に獄寺が微笑んだ。
「っは…。美味いだろ?」
「ああ、最高」
山本の答えに気を良くして、獄寺の腕がするりと山本に巻き付いてくる。
作業が出来ない山本はわざとらしくため息をつき、ボウルを置いた。