05/15の日記

22:02
カタチにならない
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1414
山本









それはもう本当になんでもない瞬間で。
例えば連れ立って歩くとき。隣で飯を食うとき。
ツナを挟んで笑うとき。
互いの視線が、ぱちりとかち合うことがある。
意図したわけでもないのに。

その時の獄寺の顔は戸惑ったような、不思議そうなもので、きっと俺と同じ感覚なのだろうと思う。そして探りあうように一瞬だけ視線が絡んで、それで離れる。
いつものように。

何か言いたいことがあるわけじゃない。きっと獄寺もそう。だからなんでもないことなのだけど。


今日も隣に獄寺が座る。先に座っていた俺の指先に、獄寺のそれがたまたま触れて。
同時に、思わず手を引いた。
なんでもない、なんでもないことのはずなのに。どうして大仰に手を引いてしまったのか。
獄寺の表情は俺と同じく、どうしたものかと戸惑っている。

「獄、寺」

何故か詰まってしまう喉が滑稽だ。
指が、顔が。
熱を持っている気がした。









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