07/19の日記
01:25
歌ってよ、俺のために。
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突如思いついた。
剣道家×アーティスト
同じ男の指が、繊細な楽器を弾くためにこんなにも変化するのだと初めて知った。
「いつもは、どんな風に?」
「弾き語り」
「…歌ってよ。獄寺」
その喉が、俺のように気合いを発するためでなく囀る。
強く弱く、ピアノと連なって謳うそれは確かに俺と対極にあるのに。
なぜか、同じであるようにも思った。
歌い終わって少し息を吐く彼を呼ぶ。
どうだったと聞いてくる頬にそっと触れた。
剣を扱う、武骨な俺の手。
「最高」
「うそつけよ。俺の名前も曲も知らなかったくせに」
それはそう。
確かに、俺は芸能界にはまったくもって疎いけれど。
「知っとけばよかったと思うよ」
本当に。
こんな素晴らしい音楽を、獄寺をもっと早くに知っていればよかった。
「俺も」
お前の剣を持つ横顔は、嫌いじゃないな。
そう笑い、俺の大きな手に自分のそれを重ねた。
「歌ってよ、もう一度」
ステージのそれでもCDのそれでめなく。
俺だけの為に。
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