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□First Kiss
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唇が離れると目の前の栄口が恥ずかしそうに笑う。
この顔も好きだななんて阿部が思ってると。
「覚えてる?」
栄口にそんなことを言われて。
「なにが?」
「はじめてしたとき。」
「あー、栄口に拒否られたときな。」
「いやいや、拒否って。」
「やだっつったじゃん。おまけにお前逃げたし。」
今はこうやって笑い話にできるけど。あん時は本当に怖かったのを覚えてる。
「だってあん時の阿部の顔すげーこわかったんだもん。」
「っバーカ。あれは、きんちょーしてたんだよ。」
「緊張?阿部が?」
「なんだよっ。俺だって緊張くらいすんだよ。」

そう、覚えてる。
逃げられたあのときのこと、もう一生忘れられないくらい記憶に残ってる。
栄口とのはじめてのキス。
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