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□レインスノウ
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いつの時代も男性は女性を争うものです。






今日も寒い。外を見ると雨が降っていた。短いスカートは中が見えそうでひやひやするけど年下の幼なじみが『神田は脚がすっごく綺麗だからだした方がいいわ!』なんて言うから我慢してはいている。

現在7:45、そろそろ出ないと間に合わない。リナリーと50分発の電車で待ち合わせている。

ラビ、リナリー、俺は小さい頃からの幼なじみだった。高校も一緒で、1年生の時に俺が隣町に引っ越しても二人で、リナリーが入学してからは三人で登校してきた。

事態が変わったのは半年前から。

「おはよう神田!!」
「おう」
電車内は暖かい。マフラーが少し邪魔になる。
「ねぇー、もう半年もやってるんだよ、あの二人。すごいね、こんなに続くとは思ってなかった」
リナリーは上目づかいでこっちを見て笑う。
「でもおかげで私が神田を独占できるんだけど。そこには全く気づいてないんだよね」
「二人とも果てしなく馬鹿だからな。周りをうろうろされてどれだけ俺が迷惑してるか少しも理解してない」
「学校の名物と化してるから諦めなさいよ。でも確かにあそこまで派手だとちょっと疲れるわね」
心底面白そうに笑うリナリーを少し睨む。
ごめんごめん、と謝るけど顔は思いっきり笑ったままだ。他人事だからって楽しんでやがる!!

「でも…ほんとに嫌になったら言ってね。私が蹴り飛ばして止めさせるから」
私も神田至上主義者なんだからねッ!!と叫ぶ少女のことが大好きだ。照れくさいから言わないけど。


駅から学校まで歩いて15分。緑が多くて人気の遊歩道を通って行く。

そこに救いようのないド馬鹿二人組がいた。

「「神田ユウさんッ!!!! 」」
「俺とッ」「僕とッ」

「「付き合ってくださいー!!」」

ラビとモヤシが雨の中ひざまずいて叫んでいた。しかも薔薇の花束を掲げて。


半年前にイギリスからアレン・ウォーカーが転校してきて、会った初日に神田ユウに告白してから毎日ラビとの戦いが始まった。


校内放送のっとったり、風船大量に飛ばしたり、花火打ち上げたり。この二人の告白合戦はどんどん破天荒な方向へ進んで行く。

「神田が迷惑そうです。いい加減諦めて下さいヘタレ兎が」
「モヤシっ子はユウを守る騎士になれないから俺に任せるさ」
「今どき騎士とかクサイです。このロマンチック妄想変態め」
「それはアレンさ。頭の中下ネタで溢れてる白髪卑猥物質」

ぎゃあぎゃあと罵りあいを始めた変態ストーカー二人組。ここが公共の道の真ん中だということは忘却の彼方のようだ。



「神田…こんなのに構うことないわ。行きましょう」
「俺転校しよっかな…」
「わかるわその気持ち」


まだ告白は終わってませんー!!!!と追いかけてきた所をリナリー渾身の蹴りで再起不能にして(リナリーは柔道黒帯だ)学校へ行った。



どうしよう…胃が痛い。

雨がいつの間にか雪に変わって景色を少しずつ白くしていった。



まだまだ青春は終わらない!!

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